掲載:2015年12月15日
topics

「わたしと年金」大臣賞は栃木県の女子高生

 日本年金機構は平成27年11月30日、年金月間(11月)の取組みの一つとして一般に募集していたエッセイ(テーマ:公的年金)の審査結果を発表した。

【厚生労働大臣賞】
 栃木県 豊田ひよりさん(高校生・女性)

【日本年金機構理事長賞】
 徳島県 田村未来さん (高校生・女性)

【優秀賞】
 愛知県 浦野則夫さん(60代・男性)
 埼玉県 唐澤美果さん(40代・女性)
 福井県 岩井優子さん(50代・女性)
 東京都 越野晶さん (中学生・女性)

【入選】
 静岡県  久島佐代子さん(60代・女性)
 滋賀県  武淵奨悟さん (20代・男性)
 岐阜県  中川悠さん  (高校生・女性) 
 宮崎県  寺田定子さん (50代・女性)
 神奈川県 加藤百合子さん(50代・女性)
 愛媛県  村上通隆さん (60代・男性)

*** 厚生労働大臣賞受賞 豊田ひよりさんのエッセイ ***

 私の父は、三十六歳の時、尿に血が混じっていることが分かり病気が発見され、通院や薬の投与をして生活していた。しかし、五十歳のときに、内シャン卜作成手術を行い、人工透析を開始した。まだ私が小学生のころだったのであまり記憶の中にはなく、当時のことはよく覚えていない。その透析の回数は年々増えていって、今では週に3回人工透析をするために通院し、夜遅くに帰ってくる。そのことについてはあまり多くのことは話さない。恐らく私たち子供たちにはあまり心配させたくないとの配慮から、大ごとのようには見せなかったのだと思う。しかし、たいへんなことで、つらいということは十分に伝わってくる。それを思うと、父の周りの人への思いやりには頭が下がる思いがする。父は、年金について興昧も関心もなく、ただ「年金は定年退職をした高齢の方だけに支給されるもの」としか思っていなかった私に、自分が障害年金を受給していることについて教えてくれた。高齢者だけではなく、若者でも、保険料さえきちんと納めていれば、障害を持った時に年金をもらえることを知って、とても驚いた。
 父は、人工透析をするようになってから関係する機関を三度訪れたそうだ。一度目にその場所で人工透析までの経緯を話し、身体障害者一級に認定された。二度目に訪れた時には医者の診断書を提出した。そして、三度目には書類を作成し、年金の支給について申請をし、それから半年後に年金支給決定通知が届き、年金がもらえるようになったそうだ。今回、私がこのことを年金エッセイとして書きたい、と父に言ったところ、了解してくれた。病気になるまで父は、毎日あたりまえのように会社に通勤していたが、通院のために早退したり欠勤をしたりすると、普通の人より給料が少なくなってしまうという問題が発生してしまう。しかし、年金を受給することができるおかげで、あたりまえの普通の生活を成り立たせることができている。この「あたりまえ」の生活ができることのうれしさは、どんなものにも変えられないと、年金が支給されるありがたさについて話してくれた。そして、この「あたりまえ」の生活を送るためには、普段から年金の保険料を納めておくことが大切なのだ、ということも父はしみじみと言っていた。私はこの年金の制度がなかったら、自分たちの生活に直接影響が出てしまい、年金の制度は大切なのだということを強く感じるようになった。若いうちや普段元気な時には、こういう気持ちをあまり持つことは少ないと思う。ただ何となく加入して、意識しないで保険料を納めているだけかもしれない。また、私は年金にも種類があることも今は知り、これまでよりも年金についての興味や関心を深めるようになってきた。高齢社会が到来し、今後の世の中の変わり方によっては、私が受給者になるころには、制度が変わるかもしれない。どのようになるかはわからないが、少なくとも、今回年金のことについて考えるとともに、これからの社会についても色々と考えていけるようにしていきたいと思っている。
 今朝も、父は笑顔で「仕事に行ってくるよ」と忙しそうに会社にでかけていった。私も「行ってきます」と普段とおなじように学校に行った。これからも父にはこれまでどおりに仕事を続けていって欲しいし、私も自分の目標に向かって頑張って勉強や部活動に励んでいきたい。

そのほかの受賞者の作品は、日本年金機構のホームページよりご覧ください。

▶http://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2015/1120.html

この記事はお役に立ちましたか?

ご評価いただきありがとうございます。
今後の記事作成の参考にさせていただきます。

また、他のページもよろしければご利用をお願いしておりますので、
検索機能」や記事の「 人気ランキング 」をご利用ください。

あわせて読みたい記事

人気の記事