12月15日(火)は、一元化後の年金、10月分と11月分が支給されます。
在職年金の支給停止など、厚生年金と共済年金を受給している人の激変緩和措置などが制度設計したとおりの年金額が振り込まれ、大きなトラブルが発生することなくこの日を迎えられるのかどうか、実施機関の関係者はここを確認しないと安堵できないと思います。
今月は、読者のみなさんからいただいた質問から、筆者のほうで回答が用意できたものについて記します。引き続き、みなさんの疑問、質問をお寄せいただければと存じます(質問につきましては、ホームページ右上の「お問い合わせ」をご利用ください
)。質問はなるべく具体的に記述していただき、法律上の解釈についてのお問い合わせは、ご遠慮ください。
回答はすべてホームページ上からとさせていただきます。なお、すべての質問に回答することはできませんが、紙面づくりの参考にさせていただきます。
一元化前であれば、厚生年金保険の被保険者でも、退職共済年金の受給権者は、障がい者特例に該当しますか? 〜一元化前の障がい者特例の該当要件〜
(1)読者からの質問
読者から、次のような趣旨の質問が寄せられました。
一元化前であれば、退職共済年金の受給権者は、厚生年金保険の被保険者であっても、障がい者特例に該当していました。
一元化後では、どうなるのでしょうか?
また、一元化前から、障がい者特例の適用を受けている場合は、激変緩和措置の適用がありますか?
(2)一元化前の障がい者特例の該当要件の確認(地方公務員を事例として)
- 昭和28年11月30日生まれの男性。
- 大学卒業後、市役所職員となる。
- 平成26年3月31日に定年退職をし、平成26年4月1日より、短時間勤務の再任用職員となる(厚生年金保険の被保険者となる)。
- 平成26年11月29日に61歳となり、特別支給の退職共済年金の受給権が発生。障がい等級3級に該当する程度の障がい状態にある。
たとえば、【事例1】のような場合、障がい者特例に該当するのでしょうか?
障がい者特例に該当すれば、給料比例部分だけでなく、61歳から定額部分も支給になりますし、一定の要件を満たす配偶者がいれば、配偶者加給年金額も加算されます。
平成27年度の年金額で、定額単価1,626円×38年間×12月として試算とすると、定額部分は741,456円となります。また、配偶者加給年金額は390,100円ですので、障がい者特例に該当すれば、約113万円多く年期額を受給できることになります。
(3)厚生年金保険の被保険者でも、一元化前であれば、障がい者特例に該当するのか(地方公務員を事例として)
さて、障がい者特例に該当する要件は、一元化前の地方公務員等共済組合法附則第20条の2第1項の規定をみると、「退職共済年金の受給権者が、組合員でなく、かつ、傷病により障がい等級に該当する程度の障がいの状態にあるとき」とされています。
つまり、障がい者特例に該当するかどうかは、組合員かどうか、そして障がい等級に該当するかどうかが、ポイントとなります。
【事例1】の短時間勤務の再任用職員は、たしかに厚生年金保険の被保険者ですが、地方公務員等共済組合法に規定する組合員ではありません(フルタイムの再任用職員の場合は、組合員になります。詳しくは拙著『年金一元化で厚生年金と共済年金はどうなる?』23ペ−ジ
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http://www.nen-yu.co.jp/new_book/index.html#nb201205)。
したがって、退職共済年金の受給権者で、1級から3級の障がい等級に該当する程度の障がいの状態にあり、共済組合の組合員でなければ、障がい者特例に該当するということになります。
以上のことから、【事例1】の場合、障がい者特例に該当することになりますので、障がい者特例の請求書を提出することで、平成26年11月から障がい者特例に該当し、平成26年12月分から定額部分・給料比例部分(厚生年金相当部分+職域年金相当部分)・配偶者加給年金額(一定の要件を満たす配偶者がいる場合)の年金額を受給できるということになります。