東京都足立区 区民部高齢医療・年金課 国民年金係
ビューティフル・ウィンドウズ運動で犯罪が減り・人口増加
足立区というと、「治安が悪い」などあまり良くないイメージをもっている人も少なくない。そこで足立区では近年、まちの治安改善やイメージアップのために「ビューティフル・ウィンドウズ運動」を展開している。これは、ニューヨーク市などで実践された「ブロークン・ウィンドウズ理論」(壊れた窓を放置すると、注意を払われてない象徴となり、やがてほかの窓もすべて割られるという理論)を応用したもの。ニューヨークでは落書きや駐車違反など軽犯罪を徹底的に取り締まることで治安を改善したが、足立区のビューティフル・ウィンドウズ運動は、「『美しいまち』は『安全なまち』」をうたい文句にまちの清掃・美化に努め数多く発生していた自転車盗難を徹底して防ぐことで、治安も良くするというものだ。その結果、かつて都内で1位だった刑法犯数は4位にまで改善。まちのイメージはアップし、また、複数の大学がキャンパスを足立区内に新設して学生が増えたことや、千住地域を中心にまちも活性化されてきたこと、「日暮里舎人ライナー」など鉄道路線の開通で子育て世帯が移り住んでいることも併せ、現在は人口が増加傾向にある。
また、区民の健康向上が課題であり、その取り組みの一つとして「あだち ベジタベライフ」運動を展開して、健康寿命を延ばす取り組みを行っている。区民に野菜の積極的摂取を推奨。区内の飲食店にも「野菜を食べよう」とうたったポスターを貼ってもらうなどしており、健康寿命の延伸を図っている。
「そうした成果からか、区の世論調査では『足立区を誇りに思う』と回答する区民の割合が平成22年度の約30%から26年度は49.4%にまで上昇していて、私たちも手ごたえを感じています」と、伊東貴志・高齢医療・年金課長(今年6月着任)は説明する。
さらに、足立区は自殺対策も高かったことから、相談会を設けるなど「生きる支援」にも努めており、この取り組みには国民年金係も関わっている。「国民年金係を含め住民関連の窓口の相談で、自殺の心配や悩みを抱えた人のサインをキャッチした場合は、職員が『つなぐシート』に記入して各課で情報共有・連携するという仕組みです」(伊東課長)。