HOME ≫ 年金広報 ≫ 実務担当者のための年金講座 ≫ ③ 在職共済年金の支給停止について 〜一元化前と一元化後の在職共済年金の支給停止額を計算してみよう〜
年金広報タイトル

︱2015.9.15 9月号 (通巻675号) Vol.30

掲載:2015年9月15日
年金講座

ついに、一元化に突入!
在職年金の激変緩和はどう計算するのか?

筆者プロフィール 長沼 明(ながぬま あきら)

志木市議・埼玉県議を務めたのち、2005年からは志木市長を2期8年間務める。日本年金機構設立委員会委員、社会保障審議会日本年金機構評価部会委員も歴任し、社会保険労務士の資格を有する。2007年に明治大学経営学部特別招聘教授に就任後、現職。主な著書・論文に『年金一元化で厚生年金と共済年金はどうなる?』(2015年、年友企画)、『被用者年金制度一元化の概要と制度的差異の解消について』(「浦和論叢」2015年2月号第52号 浦和大学・浦和大学短期大学部)

 ついに、10月1日の一元化の施行日を迎えます。
 連休明けの9月24日より、一元化に伴うシステムの移行が完了し、新システムが稼働する予定となっています。
 政省令は、9月15日の時点では、まだ公布されていませんが、大きなトラブルが起きることなく、一元化の施行日を迎えたいと願っています。そのためには、事前の準備が大切です。
 今月は、一元化の日をまたぐ在職年金の支給停止の激変緩和の計算方法と新たな年金コードなど、実務に資する年金情報を提供します。
 微妙な時期での情報提供となりますが、9月30日に退職される人は、老齢厚生年金の在職支給停止は、平成27年9月分までとなり、また、平成27年10月分から退職改定後の年金額となる予定です(政省令で規定される見込み)。

在職共済年金の支給停止について
〜一元化前と一元化後の在職共済年金の支給停止額を計算してみよう〜

 それでは、事例に基づき、一元化前の共済年金の支給停止が、一元化後にどうなるのか、そして激変緩和措置はどのように適用になるのかをみていきましょう。
 年金相談の実務担当者であるみなさんも、電卓を手元に置き、いっしょに計算してみてください。
 今回は、年金の支給停止額を按分しなくていい事例として、地方議会議員の例を挙げました。議員年金については、ここでは触れませんが、興味のある方は、【年金広報】7月号にアクセスしてみてください。

▶http://kurassist.jp/madoguchi/nenkin-kouhou-vol28/pro-lecture/pro-lecture-01.html#pro-jump

(1)共済年金は、議員在職中は、支給停止の対象 〜一元化前〜

[年金等データ]

大学卒業後、市役所職員として勤務。55歳で退職後、平成25年4月に市議会議員に当選。
平成27年8月時点で62歳。
 ・議員報酬 36万円(月額)
 ・期末手当(ボーナス) 93万6千円(年額) [平成26年12月と平成27年6月に支給された合計額]
 ・共済年金 8万円(月額)
 ・職域年金相当部分 1万6千円(月額)
 ・基準収入月額相当額 43万8千円(=36万円+93万6千円÷12)  

基準収入月額相当額とは、厚生年金の場合の総報酬月額相当額に相当する。
詳しくは、拙著『年金一元化で厚生年金と共済年金はどうなる?』(37頁~39頁)(㈱年友企画)をご参照ください。
▶http://www.nen-yu.co.jp/new_book/index.html#nb201205

一元化前の支給停止額の計算 〜平成27年9月分〜

[支給停止額]

([基準収入月額相当額]+ [基本月額]−47万円)÷2=
         (438,000円+80,000円−470,000円)÷2=24,000円

 特別支給の退職共済年金は、月額80,000円のうち、月額24,000円が支給停止となります。

[支給される年金額]

 従って、支給される年金額は、

80,000円−24,000円=56,000円(月額)

となります。
 なお、職域年金相当部分は、厚生年金保険の被保険者・私学事業団に加入中・議員に在職中の場合は、全額支給されます。
 従って、この事例では、
 共済年金は56,000円+16,000円(職域年金相当部分)=72,000円(月額)が支給されることになります。

 

(2)共済年金を受給していると、一元化後はどうなるか


 支給停止はどうなるでしょうか? まだ、65歳前です。
 まず、高在老から低在老へ、在職中の支給停止ラインが変わります。
 
 まず、〈本来の支給停止額〉を算出します。

(438,000円+80,000円−280,000円)×1/2=119,000円>80,000円
                          全額支給停止

 これが〈原則〉です。
 では、激変緩和措置は適用になるでしょうか? 
 【一元化後の在職老齢年金の支給停止のフローチャート】を参照してください。
 一元化前に受給権が発生しており、かつ、一元化の日をまたいで在職しているので、激変緩和措置が適用されます。
 
 〈上限1割〉〈35万円保障〉〈原則〉の3通りで計算し、比較します。

(ア) 〈上限1割〉の場合

 438,000円(総報酬月額相当額)+80,000円(基本月額)=518,000円
 (a) 518,000円−24,000円(一元化前停止額)=494,000円
 (b) 494,000円×1/10=49,400円
 (c) 49,400円+24,000円=73,400円

(イ) 〈35万円保障〉の場合

 438,000円(総報酬月額相当額)+80,000円(基本月額)=518,000円
 (a) 518,000円−24,000円(一元化前停止額)=494,000円
 (b) 494,000円−350,000円=144,000円
 (c) 144,000円+24,000円=168,000円>80,000円 全額支給停止

(ウ) 〈原 則〉

 (438,000円+80,000円−280,000円)×1/2=119,000円>80,000円
                            全額支給停止

 (ア)(イ)(ウ)で、支給停止額が一番少ない金額が適用されます。
 (ア)の73,400円が適用され、支給停止額は、73,400円となります。

支給停止額の計算は、法律上は年額単位。ここでは便宜的に月単位で行っています。
また、端数処理ついても、月単位で行っており、厳密ではありません。以下同じ。

 従って、一元化後は、支給される特別支給の退職共済年金は、
 厚生年金相当部分が80,000円−73,400円=6,600円(月額)ということになります。
 なお、職域年金相当部分16,000円(月額)は、一元化後も、支給される予定です(政令で規定される見込み)。

 

[支給される特別支給の退職共済年の年金額]

 6,600円+16,000円=22,600円(月額)

 となります。

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