10月1日の一元化の施行日まで、あと1か月あまりとなりました。
全国の年金事務所をはじめ、各共済組合、私学事業団においても、準備作業に余念がないと聞いています。
一元化に関係するパブリックコメントの意見募集も、厚生労働省は8月15日に、財務省(国家公務員共済組合法施行令等)も8月15日に、総務省(地方公務員等共済組合法施行令等)は8月20日が受付締切日となっています。
また、一元化に絡んで、「障がい年金の初診日の確認」(初診日を合理的に推定できるような参考資料が提出された場合に、できるだけ本人の申立てによる初診日が認められるようにする改正) についてのパブリックコメントも実施されています(厚生労働省:受付締切日9月9日)。
これらがすべて調整されあわさって、政省令が改正されるものと認識しています。一元化はやはり目が離せません。
今月は、一元化後のワンストップサービスの概要についての情報を提供します。
なお、最終ページには【新様式の年金請求書】(表紙部分)を掲載しました。実務の参考にしてください。
ワンストップサービスの対象とならない届書とは?
〜障がい年金の請求書、特定消防職員・特定警察職員の年金請求書など〜
診断書を添付する必要がある障がい年金の請求書
一元化後に、ワンストップサービスの対象とならないのは、医師の診断書を添付する必要がある障がい年金の請求書などです。
障がい年金の請求書は初診日に加入していた実施機関に提出しなければなりません。
初診日が私学事業団に加入中(第4号厚生年金被保険者期間中)の障がい厚生年金の請求であれば、私学事業団に提出するということになります。この場合、家の近所に、他の実施機関、例えば年金事務所があるからといって、年金事務所に提出することは、残念ながらできません。
初診日が第1号厚生年金被保険者期間中の障がい厚生年金の請求であれば、もちろん、年金事務所に提出するということになります。
特定警察職員・特定消防職員の年金請求書もワンストップサービスの対象外
特定警察職員・特定消防職員の年金請求も、ワンストップサービスの対象ではありません。加入していた地方公務員共済組合(警察共済組合・市町村職員共済組合等)に提出しなければなりません。
一方で、特定警察職員・特定消防職員に該当しない一般の警察職員・一般の消防職員の年金請求はワンストップサービスの対象となります。
では、38年あまり勤務して、消防司令長で退職した消防職員が、一元化後に受給権が発したときに、年金事務所や共済組合など、いずれの実施機関に行っても、どの実施機関で年金請求をしてもいいのでしょうか? それとも加入していた地方公務員共済組合(例えば、埼玉県市町村職員共済組合)だけにしか年金請求をすることができないのでしょうか?
金融機関の年金相談のときに、ワンストップサービスの対象とならない特定警察職員・特定消防職員に対し、「年金事務所でも共済組合でも、どこでも受け付けてくれますよ、ワンストップサービスをやっていますからね。年金請求書(ターンアラウンド)が届いたら、どこに提出しても大丈夫ですよ」と答えてしまうと、あとでトラブルの要因になるかもしれません。後日、相談者のところに、加入していた地方公務員共済組合からターンアラウンド方式の年金請求書が送付されてきたときに、該当する共済組合に対して請求するように注意書きが付されているからです。
特定警察職員・特定消防職員の詳細については、拙著『年金一元化で厚生年金と共済年金はどうなる?』(30頁~32頁)をご参照ください。
金融機関の年金相談会などでは、『被用者年金一元化ガイドシート』(社会保険研究所)が、年金相談グッズとしては、便利です。
▶ http://www.shaho.co.jp/shaho/shop/detail.php?no=117 ここでは、【消防吏員の階級】を掲載しておきます。
特定消防職員に該当するかどうかは、【消防吏員の階級】だけでは判定できませんので、注意をしてください。
【消防吏員の階級】