「年金生活者支援給付金」をご存じでしょうか?年金生活者支援給付金は、消費税率引き上げ分を活用し、公的年金等の収入金額やその他の所得が一定基準額以下の人に、生活の支援を図ることを目的として、年金に上乗せして支給するものです。具体的にはどのような人が支給対象になるのか、給付金はどれくらいなのかなどについて解説します。
1受給している年金に上乗せされる
老齢年金生活者支援給付金は65歳以上の人に支給
2019年10月に、消費税が8%から10%に引き上げられました。この増税分を財源として、収入や所得が低い年金受給者を支給対象とする「年金生活者支援給付金制度」が創設されました。
この年金生活者支援給付金は、一時金のような1回のみの支給ではなく、支給要件を満たせば 恒常的に支給されるものです。一度支給要件を満たさずに不該当となっても、再び支給要件を満たせば支給されるようになります。
老齢年金生活者支援給付金の支給要件
次の支給要件をすべて満たしている人が対象となります。
(1)65歳以上の老齢基礎年金の受給者である
(2)同一世帯の全員が市町村民税非課税である
(3)前年の公的年金等の収入金額※1とその他の所得との合計額が
881,200円以下※2である
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 2021年10月時点の金額です。
なお、前年の年金収入額とその他の所得額の合計が781,200円を超え881,200円以下である人には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。老齢年金生活者支援給付金の支給により所得の逆転が生じないようにするためであり、給付額は、保険料納付済期間のほか、前年の年金収入額とその他の所得額の合計によって変わります。
上記(1)にあるとおり、老齢年金生活者支援給付金は65歳以上であることが要件ですので、繰上げ受給をしている65歳未満の人は対象外になります。
老齢年金生活者支援給付金の給付額
月額5,030円を基準に、保険料納付済期間等に応じて算出され、次の(1)と(2)の合計額となります。(※給付金額等は2021年10月時点の金額です。)
(1)保険料納付済期間に基づく額(月額)
= 5,030円 × 保険料納付済期間/被保険者月数480月
(2)保険料免除期間に基づく額(月額)
= 10,845円※ ×
保険料免除期間/被保険者月数480月
※「全額免除期間」「3/4免除期間」「半額免除期間」については10,845円(老齢基礎年金満額(月額)の1/6)、「1/4免除期間」については5,422円(老齢基礎年金満額(月額)の1/12)となります。毎年度の老齢基礎年金の額の改定に応じて変動します。
【給付額の例】
保険料納付済期間が384か月、保険料全額免除月数が96か月の場合
(1)5,030円 × 384月/480月 = 4,024円
(2)10,845円 × 96月/480月 = 2,169円
合計 (1)4,024円 +(2)2,169円 = 6,193円(月額)
障害基礎年金・遺族基礎年金受給者も対象
年金生活者支援給付金は、障害基礎年金や遺族基礎年金の受給者も支給の対象となります。それぞれの支給要件と給付額は以下のとおりです。(※給付金額等は2021年10月時点の金額です。)
障害年金生活者支援給付金の支給要件
次の支給要件をすべて満たしている人が対象となります。
(1)障害基礎年金の受給者である
(2)前年の所得※1が4,721,000円以下※2である
※1 障害年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額します。
障害年金生活者支援給付金の給付額
- ● 障害等級が2級の人 : 5,030円(月額)
- ● 障害等級が1級の人 : 6,288円(月額)
遺族年金生活者支援給付金の支給要件
次の支給要件をすべて満たしている人が対象となります。
(1)遺族基礎年金の受給者である
(2)前年の所得※1が4,721,000円以下※2である
※1 遺族年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額します。
遺族年金生活者支援給付金の給付額
- 5,030円(月額)
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ただし、2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、
5,030円を子の数で割った金額がそれぞれに支払われます。
【給付額の例】
3人の子が遺族基礎年金を受給している場合(一人あたりの金額)
5,030円 ÷ 3 = 1,676.666… ⇒ 1,677円(月額)
※50銭以上は切り上げて計算します。
公的年金等の収入金額やその他の所得が一定基準額以下の基礎年金受給者には、年 金生活者支援給付金が支給される
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① 受給している年金に上乗せされる