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くらしすとEYE
年金・社会保険
掲載:2019年4月15日

“目で見る”年金講座【第7回】
「生計を維持されている」とは?

②「生計が維持されている」ことと「扶養されていること」は違う

「収入要件」の線引きは年収850万円(年所得655.5万円)

 「生計維持関係」の要件として、前項では「生計同一要件」について解説しました。本項では「収入要件」について解説します。
 「収入要件」は、次のとおりです。

【図表5】「生計維持関係」の要件である「収入要件」

  前年の収入が850万円未満、もしくは前年の所得が655.5万円未満である場合

  定年退職等により近い将来(概ね5年以内)、収入または所得が上記に該当することが見込まれる場合

 なお、一時的な収入・所得については除外します。また、前年の収入・所得が確定していない場合は、前々年の収入・所得で判断します。

【コラム】収入と所得の違いは?

 簡単に言えば、収入とは、会社員なら給与や賞与の合計、自営業者なら事業の売上で、所得とは、収入から税法上の控除を差し引いたものです。

<会社員の場合>

収 入 : 給与や賞与の年間の合計額にあたります。源泉徴収票の「支払金額」欄に記載されている金額です。

所 得 : 収入から「必要経費」を差し引いた金額です。どんな経費が必要経費になるかは、業種や業態などによります。

<自営業者の場合>

収 入 : 事業で得た年間の売上合計額にあたります。

所 得 : 収入から「必要経費」を差し引いた金額です。どんな経費が必要経費になるかは、業種や業態などによります。

第3号被保険者の収入要件との違いは?

 国民年金の被保険者の種類をおさらいすると、自営業者や学生など、国民年金だけに加入している人が第1号被保険者、会社員や公務員など、厚生年金保険に加入している人が第2号被保険者、そして、第2号被保険者に扶養されている配偶者が第3号被保険者になります。
 第3号被保険者に該当するには、第2号被保険者により主として「生計を維持されている」ことが条件とされていますが、このときの収入要件は、今回解説している、受給に関係する「生計維持関係」の収入要件とは扱いが大きく異なっています。
 第3号被保険者は、具体的には健康保険の被扶養配偶者にあたる人とされています。健康保険の被扶養者に認定される収入要件は、次のとおりです。

【図表6】健康保険の被扶養者の認定の収入要件

  年間収入130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)

  同居の場合、収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満
別居の場合、収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満

 つまり、第3号被保険者における「生計を維持されている」は、文字通り「扶養されている」ということに留意してください。

「年収850万円」という基準は高すぎる?

 それにしても、「生計を維持されているかどうかの基準が、年収850万円というのは高すぎるのではないか?」と思われる方も多いのではないでしょうか?
 実のところ、年収850万円(年所得655.5万円)という基準は、所得分類の最高位(上位10%)にあたる者の年収をもって設定されているのです。
 その理由についての厚生労働省(当時の厚生省)の説明を要約すると、生計維持要件は「その時点で受給権が発生するかを判断するための要件」であり、「その後に収入が下がったときに支給停止が解除されて支給が開始されるという性質のものではない」ということで、「社会通念上著しく高額の収入を得られる者以外は広く支給対象とする」というものでした。
 将来の収入を見通すことは困難であるので、その後に収入が低下しても大丈夫なように、収入基準は高く設定しておくということかもしれません。

受給権は広く発生する──こんなケースも

 そうすると、一般的な感覚では「生計を維持されている」とは思われにくいようなケースでも、生計維持関係の要件を満たしていれば、年金が支給されることになります。
 図表7の例で見てみましょう。

【図表7】こんなケースでも遺族年金は支給される

<ケース1>

  夫 : 会社員(第2号被保険者)前年の年収800万円

  妻 : パート(第2号被保険者)前年の年収200万円

  夫婦は同居している。子どもはいない。

収入の少ない妻の方が死亡した場合でも、夫の年収は850万円未満なので「生計を維持されている」とみなされ、夫は遺族厚生年金を受給することができる。

<ケース2>

  夫 : 会社員(第2号被保険者)前年の年収800万円

  妻 : 専業主婦(第3号被保険者)前年の年収なし

  夫婦は同居している。子ども1人(5歳)あり。

収入のない専業主婦の妻が死亡した場合でも、夫の年収は850万円未満なので「生計を維持されている」とみなされ、子どもが18歳に達する年度の末月分まで、夫は遺族基礎年金と「子の加算」を受給することができる。

<ケース3>

  夫 : 会社員(第2号被保険者)前年の年収1,200万円 56歳

  妻 : パート(第2号被保険者)前年の年収200万円

  夫婦は同居している。子どもは成人している。

収入の少ない妻が死亡した場合、現在の夫の年収は850万円以上であるが、4年後には定年退職を迎え、年収が850万円を下回ることが見込まれるため、「生計を維持されている」とみなされ、夫は遺族厚生年金を受給することができる。

point

1.生計を同じくし、かつ、前年の年収が850万円未満(所得が655.5万円未満)であると、「生計を維持されている」とみなされる

2.ここでいう「生計を維持されている」とは、第3号被保険者の認定要件(健康保険の被扶養者の認定要件)と別のものである

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