2歯の健康は生活習慣から

歯の健康は噛むことと磨くことから

 歯の健康の基本は噛むことです。噛むという行為には非常に大事な意味があります。食物を消化吸収するために、細かくかみ砕くだけでなく、唾液そのものにも消化酵素が含まれています。しっかりとかみ続けることで唾液が多く分泌され、食物に唾液を絡ませて消化吸収を促進させます。そして、唾液には口中を殺菌する効果があるので、虫歯予防・歯周病予防の効果も併せ持っています。
 もちろん日々の歯磨きは欠かせません。歯の掃除だけでなく、同時に歯を支える歯肉をブラッシングすることも大事です。これは歯を支える歯肉を鍛え、歯肉が歯をしっかりと支える力を養い歯周病を予防する効果があります。
 このほかキシリトール入りガムなど、虫歯予防効果が認められているトクホ(特定保健用食品)を利用するのも効果があります。

口内環境の悪化は認知症の原因にも

 噛むことは消化のためだけではありません。食べ物を噛むと、その衝撃と振動が脳に伝わります。その刺激は脳の活性化にとても大切なことです。
 ところが、歯を失ったり歯周病などで口内環境が悪化し、うまく噛むことができなくなると、脳への刺激が少なくなり、脳の委縮や機能の退化が起こってしまいます。そうすると認知症になりやすくなるのです。
 キチンと歯のケアを行うことで認知症の予防にもつながりますので、毎日の積み重ねを大切にしましょう。

食物繊維で口中を整える

 歯の健康にとって、「噛む」行為が非常に大切であることは既に説明したとおりですが、この「噛む」回数を自然に増やすことができるのが食物繊維です。食物繊維は食感が硬く、唾液の分泌を促進させます。しかも糖の吸収を緩やかにして血糖値の急激な上昇を抑えるという効果もあります。食物繊維は食べたときに「硬い」と感じる根菜類のような野菜、きのこ、海藻類、豆類に豊富に含まれています。
 野菜でもレタスやトマトのように食物繊維が多くはないものもあります。噛む回数を増やすためには、これらは大きめにカットしたり、柔らかく煮込まずに生で食べるようなことで自然に噛む回数が増えてきます。

歯磨きは手動と電動とどちらが効果的?


デンタルフロス(左)と歯間ブラシ(右)

 一般的な歯ブラシと電動歯ブラシでは、プラーク(歯垢)除去効果では大差がないという研究結果が多数報告されています。むしろ、機械で磨いているという安心感から、磨き方が雑で短時間になってしまうことのほうが危険です。歯と歯の隙間はデンタルフロスや歯間ブラシを使用しましょう。どちらもゆっくりやることが大切で、やり過ぎると歯や歯肉を痛めます。つまようじは歯肉をつついて傷をつけてしまう恐れがあるので避けたほうがよいでしょう。

8020(ハチマルニイマル)運動

 これは、平成元年に日本歯科医師会と厚生省(当時)が連携して策定した「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動です。例えば「歯が抜けているから」「入れ歯なので」といった理由で「硬いものが食べられない」などの不自由が起きると、食生活の満足度を下げてしまいます。さらに食べることが出来ない食品や心理的に避けてしまう食品が増えてくると栄養のアンバランスを招きやすくなるのです。
 しかし、歯が20本以上残っていると食生活にほぼ問題がなく、充実することができると言われています。そのため、「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」というスローガンのもとに始まったのが8020運動です。

 食べるというのは、生きる喜びであり、人生の大きな楽しみです。同じ病気で同じ治療を受けても、栄養を食事(口)から摂っている人と、そうでない人では寿命が異なり、食事(口)から摂っている人のほうが長命であるという研究報告もあります。このことからも、歯は何物にも替えがたい健康資産であるといえます。
 口は、栄養が体に入るための玄関です。きれいに掃除をして健康を保ちましょう。

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