臓器提供を考えてみる3臓器提供を考えてみる

臓器提供にも登録が必要

 臓器提供は、脳死後あるいは心臓が停止した死後に行うことができます。世界のほとんどの国で「脳死は人の死」とみなされており、脳死下での心臓、肝臓、肺、腎臓などの臓器移植が可能です。
 脳死後に提供できる臓器は、心臓・肺・肝臓・腎臓・膵臓・小腸です。また、心臓が停止した死後に提供できる臓器は腎臓、膵臓です。すなわち心臓、肺、肝臓、小腸は、心臓が停止した死後ではもはや移植できないのです。
 臓器の提供は、臓器を提供する意思を生前に書面で明らかにしている場合に加え、本人の臓器提供の意思が不明な場合にも、家族の承諾があれば臓器提供ができるようになりました。平成22年には臓器移植法の改正により、15歳未満の人からの脳死後の臓器提供も可能になりました。

臓器移植法の改正(平成22年)

 平成22年の臓器移植法改正により、本人の臓器提供の意思が不明な場合にも、ご家族の承諾によって、脳死下での臓器提供が可能になりました。15歳未満の人からの臓器提供も含まれます。「提供しない」の意思については、15歳未満の人の意思表示も有効です。

意思登録の方法は3つ

 本人の臓器提供に対する意思が分からない場合には、「提供する」「提供しない」の判断を家族に委ねることになります。家族に大きな心理的負担をかけないためにも、普段からよく話し合い、臓器提供に関する自分の意思を家族に伝えるとともに、次に掲げるような方法で意思表示をしておくと緊急の場合に役立ちます。
 臓器移植に関する意思表示の方法は、3つあります。

Ⅰ.インターネットでの意思登録

日本臓器移植ネットワークの臓器提供意思登録サイトで、国内での死後の臓器提供に関する意思を登録できます。

Ⅱ.運転免許証、健康保険被保険者証に記入

新たに発行される運転免許証や健康保険被保険者証の裏面に設けられた「臓器提供意思表示」に記入して携帯します。

Ⅲ.意思表示カードやシールに記入して携帯

カードやシールは、全国の都道府県庁や市区町村役場、保健所、ハローワーク、年金事務所、郵便局、運転免許試験場(センター)、警察署、一部のコンビニエンスストアに設置され、入手可能です。シールは意思表示欄のない運転免許証や健康保険証などに貼って使用します。

 臓器提供意思表示欄には、「臓器を提供する」という意思だけでなく、「臓器を提供しない」という意思も表示できるようになっており、どちらの意思も尊重されます。臓器を提供しないという意思表示がある場合には、たとえ家族が提供を希望しても、本人の意思が第一に尊重されるのが鉄則で、臓器が提供されることはありません。

自分の意思で救える命がある

 臓器提供をするのは、あなたの生が終わりを迎える脳死後、または心臓停止後です。臓器提供とは、あなたが最期を迎えたときに、誰かの命を救うことができる「いのちの贈りもの」。あなたの生は終わっても、誰かの体のなかで、あなたの一部が生き続けるのです。自分の意思で他の人の命を救えるのは意義のあることでしょう。
 臓器移植に関しては、4つの権利があります。死後に臓器を「あげたい」「あげたくない」、あるいは移植が必要なときに臓器を「もらいたい」「もらいたくない」。どの考え方も等しく尊重されなければなりません。このなかで「あげたい」人と「もらいたい」人をつなぐ仕組みが、「いのちの贈りもの」とも呼べる臓器提供です。「あげたくない」人と「もらいたくない」人に、提供や移植について説得したり強要することは決してありません。
 「提供する」「提供しない」のどちらを選択しても、あなたの意思が尊重されるために、家族とよく話し合い、あなた自身の意思を示しておくことが大切です。

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