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好評連載『飽くなき者たち』を語る
〜時代の変化を映す役者の生き様を巡って〜
俳優の生き方に時代性が映されている

編集者 映画の中での高齢者の描かれ方が変わってきているのと同時に、俳優のキャリアの在り様みたいなものも変わってきていますよね。

仲代達矢

執筆者 俳優の生き方がまったく変わってきていますね。寿命が延びていますから。黒澤明監督の『乱』が1985年。あれは『リア王』が下敷きになっていますが、まさに老いの狂乱を仲代達矢が演じています。


編集者 あのときの仲代はいくつでしたかね。


執筆者 53歳なんですよ。実年齢53歳で、70歳の老醜、老いの「乱」を演じている。役者人生の終着点、集大成みたいなものになってもおかしくないんですね。しかし、仲代達矢はそこから30年生き続けて、いま83歳か84歳。その仲代達矢が今年2017年に公開された『海辺のリア』で、また別のリア王を演じているんですよ。『乱』が集大成にならずに、60代、70代、80代と、フィルモグラフィーが続いていく。仲代達矢の回を書いたのが2015年ですが、その後にまだこういう出演作が出てきちゃうわけですよ。


編集者 まさに「飽くなき者」ですよね。


松坂慶子

執筆者 松坂慶子なんかもそう。60代になって、まだまだこれからなわけですね。この人は『蒲田行進曲』と『死の棘』で終わっていても別にいいんですよ、それだけでも大女優です。でも50代を前にして、はじけたような役をバーンとやって、役の幅を広げるわけですよ。特撮的な作品に出てみたり、あるいは三池崇史という怪監督の作品に出て、死体をずっと埋めてくミュージカルをやってみたり、もう楽しんでる。


編集者 功成り名遂げ、大女優の評価を得た人が、「こんなのに出て落ちぶれたなあ」ではなく、また新たな挑戦を。


執筆者 たとえ実際に落ちぶれたとしても、寿命が延びているから、まだあとがあるんですよ。特撮作品に出たり変わったミュージカル映画に出たりすると「落ちぶれたなあ」「仕事はないのかな」と言われて終わるかもしれない。でも、彼女の場合、2015年に『ベトナムの風に吹かれて』という佳作に出てみたり、来年2018年公開のチェン・カイコー監督の超大作『空海』に出てみたり、みたいなことがあとで起きるわけですよね。だから、いまの俳優っていうのは60代・70代の自分のキャリア形成みたいなところも考えていかないといけないということですね。それは俳優業に限らずどんな仕事でも一緒ですけどね。


編集者 そうですよね。また仕事にも限らず。


執筆者 仮に65歳で定年になったとしても、その後の人生をどうするか。まさに余生として暮らすのか。いや、まだ働くんだというのもあるだろうし、ボランティアをするんだというのもある。ボランティアにしても、いまは「あなたじゃないと」と求められるボランティアをしたいとか、変わってきているのがありますね。単なるボランティアでは飽き足らない、いままで働いてきたキャリアを活かして、60代・70代もまだ人の役に立つんだとか、自己実現するんだ、みたいに考える人が増えてきている。俳優の生き方にも、そうした時代性が映されているってことだと思うんですよね。

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