HOME ≫ トピックス ≫ 自宅で暮らし続けるための住まいの整備 ≫ ① なぜ「住まいの整備」が必要か?

【市民セミナー】
自宅で暮らし続けるための住まいの整備
〈年住協 市民セミナーより〉

 住まいは生活の基盤です。住まいを整備することで、老後も安心して自宅で暮らし続けることができる可能性が広がります。では、どのようなことに留意して住まいを整備すればいいでしょうか。長年、真のバリアフリー住宅の普及に精力的に取り組まれてきた吉田紗栄子氏を講師として、これから高齢期を迎える市民の方を対象に、平成28年2月に東京都下で小さなセミナーを開きました。その内容をダイジェストでご紹介します。

講師 吉田 紗栄子氏

講師 吉田 紗栄子 氏
(一級建築士/NPO法人 高齢社会の住まいをつくる会 理事長)


 講師の吉田紗栄子です。NPO法人「高齢社会の住まいをつくる会」という会の理事長をしている建築士です。私はいま72歳で、まさに高齢者です。そして、足が悪くて介護保険の要支援2であり、障害者手帳4級も持っています。
 この50年間で、高齢者がマイノリティではなくメジャーになってきました。これからの超高齢社会で、私たち自身がしっかり自立した生活ができるようにしなければいけないのだと、自分のことも含めての話をさせていただきます。

なぜ「住まいの整備」が必要か?

80代の水晶体はウーロン茶?

 皆さんも、目が見えにくくなってきた、人の名前が出てこなくなってきた、ということを日々感じているのではないでしょうか。特に視力ですね。すごく弱ってきます。私たちがいろいろなことをするうえで情報を得る時に、五感を全部使っているけれど、そのうち80%ぐらいは視覚を使っているといいます。ですから、住まいを視覚の衰えにきちっと対応した環境にしていくことが、安全な住まいということではとても大切なことだと思います。

 まず、色の識別がしにくくなります。私などがそうですが、特に黒っぽい色、ダークグリーン、紫、紺色、そのあたりの色は夜になるとはっきりわからない。自宅でも、危ないようなところが見えにくいというところも出てくると思います。

水晶体が黄濁すると…

02

 それから、明るいところから暗いところ、あるいは逆に、暗いところから明るいところへ出たときに目が慣れるのに時間がかかるようになります。確かに、映画館に入ってパッと席が見えるかというと、若い頃のようには見えないということがあります。

 あと、病気によってはゆがんで見えます。それから、まぶしさを感じるようになります。水晶体は人間の目でレンズにあたりますが、20歳の人の水晶体を真水とすると80歳の人の水晶体はウーロン茶ぐらいといわれます。かなり濁ってきます。それで白内障の手術をすると逆にまぶしくてしょうがない。住宅相談を受けていても、最初は「見えにくい」「明るさがほしい」ということで蛍光灯のカバーを取ってしまったけれど、白内障の手術をすると「まぶしくてしょうがない」とおっしゃる方がいます。

 また、高齢になってくると、すり足になってきます。ホットカーペットの1センチ程度の段差や延長コードなどでもつまずきやすくなります。それで家の中でも転倒することが多くなりますが、階段から転落してしまうということになると、これは大変な事故になります。

外より危険な家の中

 かつて交通事故による死亡者がとても多かった時代がありましたよね。それから、車が良くなったり、交通信号も良くなったり、いろいろな取り組みによって年々減少しています。一方で、家庭内での事故による死亡者は年々増え続けています。2003年には逆転して、その差は年々広がっているのです。私たち高齢者は家にいる時間が長いので、そこで事故が起こるのはわかりますし、どうしても増えてきます。このことを見ても、住まいの整備がいかに必要であるかがわかるでしょう。

 団塊の世代の7割以上の人が「今住んでいる家に住み続けたい」という調査結果も出ています。私自身も仕事柄、施設とかいろいろなところを見ていますが、やはり我が家が一番だと思っています。そして、自分の家で何とか最期まで暮らしていければいいなと思います。ですから、家の中は安全でなければなりません。もちろん、自宅で暮らし続けられるかどうかには健康とかいろいろ条件がありますが、住まい自体も本当に大きな要素だと思うので、今からそれに備えていくことが大事だと思います。

次へ
bottom_maincontent
bottom_sidecontent
年住協サポートサービス
住環境整備促進
一般財団法人 年金住宅福祉協会
一般財団法人 年金住宅福祉協会
このページのトップへ