ご質問に関するご回答【ご質問】所得があると障害年金は減額になりますか?

就労していながら障害年金を受給する場合は、原因となった傷病が20歳前のものかどうかがポイントとなります。20歳前に傷病による場合、障害基礎年金には所得制限があります。これは2段階制となっており、前年の所得が一定の額を超えたら年金額の1/2相当額が支給停止となり、さらに一定の額を超えたら全額が支給停止となります。20歳以降の傷病に係る障害基礎年金には所得制限はありません。また、障害厚生年金にはこのような所得制限はありません。

なぜ20歳前の障害が所得制限の対象になるのか

通常、障害基礎年金は保険料納付要件を満たしていることが支給要件となりますが、20歳前障害が原因の人は20歳に達したときなどに障害認定を受けるため、国民年金の保険料を納めていない、あるいは保険料納付要件を満たしていないにもかかわらず給付を受けていることになります。従って一定以上の所得がある場合は、所得制限を設けることでその公平性を保っています。

初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること、または初診日の前日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。

単身世帯の場合の所得制限

*年金額は2023(令和5)年度の価格

所得(年収) 所得制限 支給される障害基礎年金の額
3,704,000円 以下制限なし(全額支給) 1級 993,750円(67歳以下)
990,750円(68歳以上)
2級 795,500円(67歳以下)
792,600円(68歳以上)
3,704,000円超
4,721,000円以下
障害基礎年金の1/2が支給停止 1級 496,875円(67歳以下)
495,375円(68歳以上)
2級 397,500円(67歳以下)
396,300円(68歳以上)
4,721,000円超 障害基礎年金は全額支給停止 1級 0円
2級 0円

2人以上世帯の場合の所得制限

*年金額は2023(令和5)年度の価格

扶養親族の
人数
所得(年収) 所得制限 支給される
障害基礎年金の額
1人 4,084,000円以下 制限なし(全額支給) 1級 993,750円(67歳以下)
990,750円(68歳以上)
2級 795,500円(67歳以下)
792,600円(68歳以上)
4,084,000円超
5,101,000円以下
障害基礎年金の1/2が支給 1級 993,750円(67歳以下)
990,750円(68歳以上)
2級 795,500円(67歳以下)
792,600円(68歳以上)
5,101,000円超 障害基礎年金は全額支給停止 1級 0円
2級 0円
2人 4,464,000円以下 制限なし(全額支給) 1級 993,750円(67歳以下)
990,750円(68歳以上)
2級 795,500円(67歳以下)
792,600円(68歳以上)
4,464,000円超
5,481,000円以下
障害基礎年金の1/2が支給 1級 993,750円(67歳以下)
990,750円(68歳以上)
2級 795,500円(67歳以下)
792,600円(68歳以上)
5,481,000円超 障害基礎年金は全額支給停止 1級 0円
2級 0円
3人 4,844,000円以下 制限なし(全額支給) 1級 993,750円(67歳以下)
990,750円(68歳以上)
2級 795,500円(67歳以下)
792,600円(68歳以上)
4,844,000円超
5,861,000円以下
障害基礎年金の1/2が支給 1級 993,750円(67歳以下)
990,750円(68歳以上)
2級 795,500円(67歳以下)
792,600円(68歳以上)
5,861,000円超 障害基礎年金は全額支給停止 1級 0円
2級 0円

扶養親族数1人につき、所得制限額が380,000円プラスされます。扶養親族が老人控除対象配偶者老人扶養親族の場合には、1人につき480,000円プラス、19歳以上23歳未満(その年の12月31日現在)の特定扶養親族の場合は1人つき、所得制限額が630,000円プラスされます。

収入がある場合、単身者なら年収3,704,000円、2人世帯(扶養親族1人)なら、4,084,000円までは仕事などの収入があっても、障害基礎年金を全額もらうことができます。子どもの加算分は支給停止の対象ではありません。

就業している人の障害基礎年金事例

〈例1〉Aさん(会社員・35歳・男性)の場合

*年金額は2023(令和5)年度の価格

18歳のときの事故で片足を失う。2級障害と認定される。平成22年4月に就職し、賞与を含めた平均標準報酬額400,000円で継続して14年間勤務している。専業主婦の妻との間に3歳の子どもが1人いる。

○Aさんの就労年収   400,000円×12=4,800,000円

○Aさんの障害厚生年金 400,000円×5.481/1000×168月+配偶者の加給年金額223,800円=592,123円

○Aさんの障害基礎年金 795,000円−795,000円×1/2+子どもの加算228,700円=626,200円

→

Aさんの年収総額は 6,018,323円(月額501,527円)

 

〈例2〉Bさん(自営業・25歳・男性)の場合

*年金額は2023(令和5)年度の価格

先天的な疾病により両耳がまったく聞こえない。1級障害と認定される。現在執筆活動により年収4,000,000円。独身。

○Bさんの就労年収   4,000,000円

○Bさんの障害基礎年金 993,750円−993,750円×1/2=496,875円

→

Bさんの年収総額は 4,496,875円(月額374,740円)

 

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