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年金広報タイトル

︱2018.1.15 1月号 (通巻703号) Vol.58

掲載:2018年1月15日
特別寄稿

年金を若者にどう伝えるか

神奈川県立保健福祉大学 名誉教授 山崎 泰彦
神奈川県立保健福祉大学 名誉教授 山崎 泰彦

 公的年金制度は、個人の生活にとどまらず、社会の安定にとっても必要不可欠である。そのことをどう伝えればよいか。若者の保険料未納や将来不安が語られる都度考えさせられてきた。
 以下、私自身のこれまでの人生のなかで考えてきたことや、教室やメディアで学生や社会人と向き合い語り合った経験を踏まえて、ポイントだと思うことを書き留めておきたい。

学生や若者にどう話すか

 毎年のことだが、厚生労働省と協力して日本年金機構は、11月の「ねんきん月間」の取組みの一環として、「わたしと年金」のエッセイを募集し、受賞作品を発表している。昨年分をみても、高校生から高齢の受給者までの幅広い年齢層、それに生活を支える老齢・障害・遺族の各種年金との身近なかかわりが語られている。公的年金の意義を啓発する上で、これに勝る教材はないのではないかと思う。
 なんと言っても、年金の価値をいちばん理解しているのは年金受給者である。多くの方にとっては決して十分な水準ではないだろう。が、年金の支えがない生活は考えられないはずである。これがあるからこそ、貯蓄を崩しながらも、なんとか生活が成り立っているというのが平均的な高齢者であろう。その年金受給者も現役時代には、重いという負担感を抱きながら保険料を納付していた。それが今の年金に結びついている。そういう年金の有難さを、若者たちに語ってほしいと思う。いちばん効果があるのは、家族内で子や孫たちにじかに話して聞かせることである。
 子が最初に年金に出会うのは、20歳未満で就職をすれば厚生年金。そうでなければ、20歳になったとき国民年金である。国民年金では保険料を納付するか、納付猶予の申請をすることになる。大学の授業では、学生が任意加入であった時代に発生した障害無年金者の問題を取り上げた。それをめぐる裁判の話から始まり、それが今の福祉的措置としての特別障害給付金制度という救済措置になっていること、しかし強制加入でありながら未加入であった者には何も保障がないことから、少なくとも学生納付特例による納付猶予の申請はすべきだと話した。
 同時に、できれば保険料を納付したほうがいいことも付け加えた。納付猶予をすれば、障害年金は全額が保障されるが、老齢年金は受給資格期間としてカウントされるだけなので、満額の老齢基礎年金の保障を得るには卒業後10年以内に追納しなければならない。学生時代に保険料を納付することになると、実質的には親が負担することになるが、その場合は、比較的に所得が高い年齢層である親の所得から国民年金の保険料が控除されるので、卒業後に本人が追納するよりも、家計としては負担が軽減される。親の所得税・住民税の限界税率が仮に2割であれば、保険料が実質的に2割軽減されるのと同じだ。そういう税制上のメリットもあって、私の子どもの学生時代には、本人分の保険料を私が納付していたことも学生に話した。
 このような話をすると学生も身を乗り出して聞いてくれる。「国民年金基金に学生も入れますか?」と聞かれたときは驚いた。自営業者等の中でも加入者はごく一部の人たちに限られている年金だからだ。もちろん加入できるし、保険料も全額が所得控除される。実際に国民年金基金に加入する学生がいるかどうかは知らないが、年金に関心を持ってくれた証左だろう。このようなこともあって、私の授業を聞いた学生には国民年金の保険料を納付していた者が多かったように思う。
 気になるのは、納付特例がある学生よりも、国民年金強制加入対象者の加入漏れだ。保険料免除や50歳未満の納付猶予の制度があるのだが、非正規労働者など、その対象にもならない者が少なくない。行政の国民年金加入促進の取組みは当然だが、私は親の努めとして、子どもにきちんと話ができないといけないと思う。子が20歳台であれば、親は50歳台でそろそろ年金を基本においた高齢期の生活設計を考える頃だ。そうであれば併せて子の将来についても親身になって考えてやるのが、少なくとも結婚するまでの親の義務ではないかと思う。

図2 第1号未加入者の年齢階級別構成割合

強制徴収の実施件数の推移

(厚生労働省「平成25年公的年金加入状況等調査」より)
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