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富山年金事務所(富山県富山市)

 南東に雄大な立山連峰を一望し、北は日本海に面する富山市は、海抜ゼロメートルから3,000メートル級までの自然を有するまち。なかでも富山湾は、ホタルイカや白エビなどの魚介類の宝庫としても知られている。富山年金事務所は富山市1市を管轄する年金事務所。平成28年度上期は総合評価で全国1位を獲得し、各課の評価も全国において高い位置を占める。職員全員が1位をめざして一丸となって取り組んでいること、さらに管轄である富山市とも逐次情報を共有するなど足並みをそろえて取り組んでいることも大きく奏功しているといえる。
富山年金事務所 写真1

富山市内から立山連峰が一望できる

富山年金事務所 写真2

富山市は江戸から明治時代まで北前船の寄港地としても栄えた。当時の廻船問屋が建ち並ぶ歴史的街並みが残されている

富山年金事務所 写真3

富山市は市民の利便性のため、LRT(ライトレール)を活用したコンパクトなまちづくりに取り組んでいることでも有名

トップをめざして課同士も競争

 富山年金事務所は、富山市のみ(人口約40万人)を管轄する。1市のみの管轄とはいえ、2005年に旧富山市、上新川郡大沢野町、大山町、婦負郡八尾町、婦中町、山田村、細入村の7市町村による新設合併により、現在の富山市(中核市)が発足したため、管轄面積は広い。ただし、富山市の約6割は林野地にあたるため、実際に人が住んでいるエリアは4割ほどになる。
 同事務所の職員数は計58名で、内訳は正職員26名、非正規職員32名。
 浦﨑敬一所長は、福井県の武生年金事務所所長、中部ブロック本部国民年金支援グループ長を経て、平成27年4月に富山年金事務所長に着任した。
 機構発足以降から今の状況を見て感じるのは、お客様に対するサービス意識が高まったこと。「以前は役所的目線というか、法を執行することへの意識が高かったが、民間になってからからはお客様と同じ目線、『お客様ファースト』の視点に変わってきたと思います」(浦﨑所長)。
 また、数字に対する意識も厳しくなってきた。「社保庁時代も数字への意識はありましたが、‟これぐらいまでいけたらいい″という『到達ライン』という意識に過ぎなかった。機構になってからは、数字は‟必ず達成すべきもの″という『最低ライン』になり、それを実現せんがため、各課の職員は日々努力しているといえます」(浦﨑所長)。
 富山県は全国的に持ち家率が高い、女性の就業率が高いなどの地域性も手伝ってか、年金の事業実績が全国的に良い県であるが、なかでも富山年金事務所は目覚ましい成果を上げている。機構が行う各事務所の総合評価では、富山年金事務所の順位は平成26年度は312拠点中全国11位だったが、27年度は2位になり、28年度の上期は1位を獲得した。
 「秘訣はやはり、職員全員・全課室が目標を『最低ライン』だと等しく認識して、向上に取り組んでくれているからだと思います。また、各課の評価も全国のなかで高く、同じ事務所内でも『この課が全国で〇位なら、うちの課はもっと上をめざそう』などと課同士で競争しているというのも大きい。また、私自身が『どうしても1位を取りたい』と職員たちに言っているからでもあるでしょう。2位では不満なんですよね、私は欲張りなので(笑)。それに対して職員たちも同じ思いを持ってくれていますし、また、それだけのスキルがうちの職員たちにはあるということです」(浦﨑所長)。
 ほかに現在力を入れていることは、お客様の声を吸い上げること。機構全体で取り組んでいることではあるが、同事務所ではより積極的にお客様の声を取るべく、毎週水曜日にお客様にアンケートを実施し回答していただいている。
 予約率向上に向けての取り組みも行っている。今年2月下旬には、同年金事務所職員が駅前に立ち、予約制に関するチラシを配布した。富山市内には県内のほかの地域から通勤している人も多いので、チラシの配布は県内3事務所からも支援をもらい実施した。
 また、富山市の協力も得て、予約制に関する情報を、市から各区の区長を通じて各地域の班長に伝え、回覧板等で市民に周知してもらっている。
 市との連携は良好で、情報共有も逐次実施。特別催告状を送った際も常に市に報告している。そのため、免除に該当する人が市に相談しに行った場合も市はスムーズに対応できる。
 また、研修も市の求めに応じて随時開催している。昨年末には高齢者雇用安定PTメンバーに年金についての研修をしてほしいと市から要望があり実施。今年に入ってからは10年短縮年金について教えてほしいとの市の要望を受け、3月に研修を実施した。市の要望にいつでも対応することが、逆にこちらからも市にお願いしやすいといえる。
 「うちと富山市さんとの意思疎通は良いと思います。こういう関係は1日やそこらですぐに築けるものではなく、結局は日々直接かかわる事務所職員と市職員が顔の見える関係があってこそだと思っています」(浦﨑所長)。
 今後の課題は職員、特に全職員の半数を占める特定職員のスキルアップだ。平成27年度の12月~3月は毎週水曜日に全員を対象に40分間実施し、全員が年金制度全般を広く浅く身に付けるようにした。その上で、平成28年度は各課に任せてそれぞれの専門知識を学ぶ研修を行うことにしたが、業務も忙しいため内容が薄くなってしまう傾向があった。そこで平成29年4月からは朝8時半から15分間を使って研修を行う予定。月1回研修するよりも、毎朝15分ずつ研修したほうが内容が頭に入りやすいし、研修時間の合計も月1回だけ実施した場合よりも長くなる。
 今後の目標は、引き続きお客様への貢献力を磨き、事業実績全国1位を維持し続けること。「平成28年度全期の1位はそう簡単には取れないでしょうが、これからも1位を目指すとともに、さらに実績を伸ばし続けていきたいと思います」(浦﨑所長)。

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