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広島東年金事務所(広島)

 広島東年金事務所は、広島市の中心地・中区に位置する年金事務所であり、広島県の代表事務所でもある。特徴は、手話による年金相談日があるなど、障害のあるお客様への対応に積極的であること。また、所長自ら職員研修を行ったり、月1回所長と職員が昼食をとるランチミーティングを開催するなど、人材育成やコミュニケーションづくりにも力を入れている。来年2月には市内3年金事務所の厚生年金適用調査課、厚生年金徴収課の機能がすべて広島東年金事務所に集約される予定で、また、来年4月の中国地域部東京移転後は同年金事務所が中国地域全体の取りまとめ役となるため、人材育成等の重要性もこれまで以上に高まっている。

社会保険料の滞納がないという証明書が入札条件

 厚生年金徴収課の職員は計9名。富永浩史厚生年金徴収課長は山口市出身で、山口年金事務所お客様相談室長を経て、今年4月より現職を務める。

 「管内は中心地・繁華街に位置するため、事業所の業種もさまざまで、飲食業だけでなくプロスポーツや芸能プロダクションなど、地方では聞かない職種や、個性的な経営者がいらっしゃると感じています」(富永課長)。

 厚生年金保険料の収納率はここ数年順調に上がっており、平成27年度末で98.5%となっている。

 保険料を滞納している事業所の対応については、話し合いの過程で脅迫まがいの発言もある。その場合は警察に相談したり、反社会勢力に属しているかどうかの確認をとるなどし、警察とも連携して対応している。通常の対応では難しい事業所には必ず複数名の職員および組織で対応している。

 健康保険、厚生年金、子ども・子育て拠出金の3つの保険料が時期を一緒にせず変わると、事業者から「保険料の計算が一致しない」などの問い合わせが来ることも多い。「こちらも広報していますが、事業所の担当者の方はいろいろな仕事をしながら社会保険料の計算などをしているので、ご迷惑をかけていると思います」((富永課長)。

 徴収課の窓口に相談に来る事業所は1日約10〜20件。このなかには、入札をするため、社会保険料を滞納していないことの証明書を取りに来る事業所も多い。

 というのも、広島県では税や社会保険料の滞納がないことを事業者の入札条件にしている。山本所長が中国ブロック本部の徴収支援グループ長だった当時、ブロック内の各県を回り、社会保険料の滞納がない証明書の提出を入札の条件とするよう要請したのだという。「反応は自治体によってまちまち。市がやらないと県がやらないと言い、県は国がやらないとやらないと言うという場合もあります。年金事務所もまた、証明書の発行業務が増えるので腰が重く、なかなか進まない。本当は全国的に同じ土壌に載せてやらなければいけないものだと思っています」と山本所長は語る。

 今後の目標について、富永課長は「やはり年金の財源を適正に収納していくことです」と話す。「年金は、皆さんに保険料をきちんと納めていただくという公平性の上になりたっているもの。そのバランスを崩してはいけないので、滞納している事業所には厳しく対応し、一生懸命努力し保険料を納めている事業所には機構が努力している姿勢を見せていかなければならないと思っています。また、払う気持ちはあっても払えない事業所には、猶予の制度や段階的に支払う方法もあるので、そういうことを知っていただくのも大事。知らなかったがために滞納が膨らんだというのが一番よくないですからね。そうならないようにするためには、やはりお互いにコミュニケーションをとっていくことが重要だと考えています」(富永課長)。

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