高年齢雇用継続給付や失業給付は選択が大事2高年齢雇用継続給付や失業給付は選択が大事

60~64歳で給料が下がると…
高年齢雇用継続給付と特別支給の老齢厚生年金

 雇用保険は失業したときだけに受けるものではありません。60~64歳で給料※が60歳の時の給料よりの75%以下に下がれば雇用保険からは「高年齢雇用継続給付」が支給されます。高齢により給料が大幅に下がった分をある程度保障する仕組みです。

 ところが、こうした雇用保険の失業給付や高年齢雇用継続給付を利用する場合、特別支給の老齢厚生年金をもらっていると、年金額はその一部または全部が支給停止となります。失業給付と年金は併給が認められていませんから失業給付を受けている間は特別支給の老齢厚生年金をもらうことはできません。また、高年齢雇用継続給付を受けると、給料の減額割合(高年齢雇用継続給付の支給比率)に応じて年金の一部は支給停止となります。このとき年金額は減額されますが、なお且つ在職老齢年金の調整の対象にもなります。給料の状況によっては高年齢雇用継続給付で割り引かれた年金が、さらに在職老齢年金で割り引かれる人も出てきます。

※賞与は含まれません。

★具体的な支給停止割合と早見表はコチラを参照してください。

退職して失業給付をもらっている間は特別支給の老齢厚生年金をもらえない

 64歳までに仕事を辞めた場合は雇用保険から「失業給付」が支給されます。失業給付の額は失業前の給料(賃金日額)で決まります。ところが、失業給付と特別支給の老齢厚生年金は同時に受けることができませんから、失業給付を受けている間は特別支給の老齢厚生年金をもらうことができません。失業給付は被保険者から請求があって初めて支給される制度ですから、必ずしももらわなくても良いわけです。失業給付より特別支給の老齢厚生年金のほうの額が高い場合は、むしろそちらを選択した方が良いことになります。試算してみましょう。

★厚生労働省の解説はコチラを参照してください。

★失業手当の給付率と計算、支給日数はコチラを参照してください。

働き方は自分で決める

 定年退職を控えて、その後どうするのかは決して会社や制度が決めることではありません。継続雇用の場合の給料や年金の受給開始時期、雇用保険等の利用、年金額への影響などさまざな方向から、どんな働き方をして、いつから年金をもらうのかを考えてみましょう。例えば60歳以降も仕事を続けるとしても、給与や社会保障の面から正社員を選択するのか、給与が下がっても高年齢継続雇用給付を考慮して契約社員を選択するのか、あるいは年金の全額給付を重視して社会保障への加入がない嘱託社員を選択するのか、選択肢は人それぞれです。定年後、自分はどうすれば「損をしない」働き方ができるかは必ず試算してみなければわからないことです。おおよその目安を立てるためにも、年金と就労収入や雇用保険との関連を知っておくことは大切なことです。自分で定年後を試算して、働き方は自分で決めましょう。

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