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くらしすとEYE
生きがい・社会参加
掲載:2018年1月15日

外に出ようよ!②
〜映画館に行こう!〜

個性を楽しむ、名画座へ

 「名画座」は、旧作を中心に独自のプログラムで上映を行う映画館。一般的に規模は大きくなく、全国各地にあるものの、その数はだいぶ少なくなってきました。しかし一方で、地域の人から愛されているものも多く、「街のシンボル」として残したいという声が上がり、さまざまなイベントを開くなど、人の集まる場所として愛されているところもあります。上映される作品は、若い頃に夢中になった懐かしの作品から、少し前に見逃してしまった話題作まで、それぞれの劇場の個性が反映されています。本のまち・神保町で日本映画を中心に個性的なプログラムを組む「神保町シアター」(東京都千代田区)を訪ね、名画座の魅力を探りました。

名画座の楽しみ方

◎個性豊かなプログラム

壁には過去の特集のチラシ

壁には過去の特集のチラシ(神保町シアター)

 ひと口に「名画座」といっても1館1館に個性があり、独自のテーマで特集を組んで昔の作品を上映したり、公開が終わって間もないロードショー作品を2本立てで上映したりと、劇場によって作品の傾向は異なります。入場料は一般料金で千数百円程度。シネコン同様、シニア向け特別料金やサービスデーの割引料金を設定しているところが一般的です。
 「神保町シアター」は開館当初は新作を上映していたそうですが、現在は日本映画の旧作を中心に、個性的なテーマでプログラムを組んで上映しています。これまでに企画された特集は、有名監督、スター俳優ばかりでなく、「鉄道映画コレクション」「文豪と映画」「昭和30年代ノスタルジア」「映画と酒場と男と女」「バブリー映画特集」など、とても個性的。上映作品は、なかなか観る機会のない作品ばかりです。
 同シアター支配人の佐藤奈穂子さんは、「実は、DVDなどソフト化されているものは膨大な作品のごく一部で、そうされていない作品のほうがはるかに多いんです」と言います。映画館は映画会社からフィルムを借りて上映を行いますが、そのフィルムが損傷・劣化した場合、さらにフィルムを複製することはなく、もう見られなくなるという作品も少なくないそうです。そこでしか観られない映画を大きなスクリーンで観られるのが、名画座の大きな魅力です。

◎憧れの銀幕のスターの作品を観る

街に溶け込むポスター

街に溶け込むポスター

 三船敏郎、高倉健、石原裕次郎、美空ひばり、浅丘ルリ子、若尾文子……。映画全盛期には、たくさんの銀幕のスターが現れました。また、小津安二郎、黒澤明ら世界に名をとどろかせた監督もいます。こうしたスター俳優・スター監督の作品を大きなスクリーンで鑑賞できるのも名画座ならではのだいご味。
 「神保町シアター」でも、俳優や監督で特集を組み、数多くの作品を上映してきました。特に好評だったのは、1950年代後半から60年代まで日活(映画製作・配給会社)に所属して活躍した女優・芦川いづみの特集です。「映画は、それぞれの作品に、観る方それぞれが思い入れを持っているんですね」と佐藤さん。夭逝のスター・赤木圭一郎の特集では、ファンを50年以上も続けているという方が、地方から時間をかけて週末ごとに通ったり、若いときは働くことに精一杯で、映画館は横眼で通り過ぎするしかなかったという方が、「あのとき観られなかった映画を、いま映画館で観られることが幸せ」と感想を書いてくれたり。まさに「映画は人生」です。(以上、敬称略)

◎「あの頃」がよみがえる

 昔の日本映画を観ると、物語を追うだけでなく、その時代の風景や生活スタイル、ファッション、乗り物、食事なども目に入ります。昔の映画で自分の子ども時代や青春時代を思い出したり、親の世代が青春を過ごした時代を疑似体験したりすることもできます。映画には、その時代が閉じ込められています。
 大きなスクリーンで観ると、着物やネクタイの柄、飲食店のメニューまでよく見えます。旧式の電車のガタンゴトンという車両の音や街の雑踏を映した映像などにもふと懐かしさがこみ上げ、より鮮明にいろいろなことが思い出されます。

◎街のシンボルとしての映画館

 映画館は街のシンボル。失われつつある名画座も、地域を愛する人にとっては土地の生活と一体化しています。名画座の中には、活動写真初上映から120年、建物は1892(明治25)年建築という国内最古級の映画館「長野相生座・ロキシー」(長野県長野市)や、1911(明治44)年建築の建物を活かして映画上映を続けている「高田世界館」(新潟県上越市)など、その土地と切っても切り離せない存在となっているところがあります。建築としても魅力があり、わざわざ足を運んでそうした映画館で観るという人もいます。街を歩きながら、その土地に昔からある映画館にふらっと立ち寄ってみるというのも楽しいものでしょう。
 「神保町シアター」は、吉本興業の若手お笑い芸人が活躍する小劇場「神保町花月」と同じ建物の中にあります。「タマゴが割れておもしろいものが誕生することをイメージ」した外観デザイン。2007(平成19)年開館のまだ新しい名画座ですが、すでに神保町の顔になっています。街を歩けば至るところに同シアターのポスターが貼られ、そこに写るスターたちの顔が街の風景にしっくりと調和しています。「本のまち神田・神保町」らしく文芸映画が人気で、映画で観た作品の原作本を探しに、帰りに古書街めぐりも楽しんでいく人も多いそうです。

◎同じ空間で、同じ時間を共有する

神保町シアターのスクリーン

神保町シアターのスクリーン

 「シアタス調布」「神保町シアター」のいずれでも、上映後に誰からともなく拍手が起こることがあると聞きました。映画館では、知らない者同士が、同じ空間で、同じ時間に、同じ映画を体験します。「日本の映画全盛期といわれた時代の映画館では、誰か1人が泣き出すと、なぜか2人、3人と広がっていき、いつの間にか部屋全体が涙している。笑うときも、劇場全体がどっとわくという雰囲気だったといいます。今でも、映画の終わりに自然と拍手が起きることがあり、そんなときは、知らない人と気持ちを共有したような気分になります。神保町シアターにはまだそんなムードが残っているように感じています。お1人でいらしても、観終わった知らない人同士でちょっとした感想を交わしている光景を目にすることがあります。」(佐藤さん)
 1人で来ても、友人や恋人と一緒に来ても、劇場にいる匿名の人たちすべてが同じ空間で同じ経験をし、気持ちを共有することができる。これも、映画館ならではの魅力といえるでしょう。映画館には、映画館でしか経験できない素敵な時間があります。ふと思い立ったら、身近な映画館にふらっと出かけてみませんか。

■神保町シアター

 2007年、「本のまち神田・神保町」にオープン。常設の客席は99席。日本の文芸作品を中心に、ユニークな特集で上映作品を選んで人気を集めています。特集ごとにつくられる上映作品のデータが記載されたチラシは読みごたえたっぷり。街で見かけたらぜひ手に取ってみてください。現在、上映中の特集は、「2018年はマキノ雅弘生誕110年! 新春時代劇傑作選」(1月6日〜19日)、「生誕100年記念 池部良と昭和のダンディズム」(1月20日〜2月23日)。

公式ウェブサイト:http://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/

神保町シアター

〈支配人・佐藤奈穂子さんから〉

 当館には幅広い年代のお客様がいらっしゃいますが、最も多いのは60代から上の方々で、アンケート用紙によく作品の感想を書いてくださいます。拝読すると、作品ごとにいろいろな思い出をお持ちであることがわかり、「人生の中に映画があるのだな」と感じます。思い出の1本や見逃してしまった作品など、この映画が観たい、こんな特集をしてほしいというリクエストがありましたら、ぜひお寄せください。上映プログラムの参考にさせていただきます。

■名画座めぐりのお供に『名画座手帳2018』

名画座手帳2018

 映画を鑑賞した後は、作品の感想やデータを記録すると、その喜びは思い出になります。名画座めぐりのお供として、『名画座手帳』はいかがでしょう。手帳としての使い勝手はもちろん、映画人(俳優、監督、脚本家など)の生年月日・没年月日や映画監督の活動期のチャート、当時の物価表、全国の旧作上映施設のリストなどのデータが充実。帯には、女優の若尾文子さん、橋本愛さんのメッセージ入り。

『名画座手帳2018』

企画・監修/のむみち 編集/朝倉史明 発行/往来座編集室
定価 1800円(1667円+税)
A6(文庫)判 2色 288ページ
ISBN978-4-909397-88-1 C0074

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外に出ようよ!② 〜映画館に行こう!〜

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