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掲載:2017年10月13日

時代が求める新しい「お墓」のかたち①
~樹木葬、桜葬とは?~

桜の木の下に眠る「桜葬」

桜の木を墓標に

「桜葬」墓地の一例。エドヒガンなど3本の桜の木をシンボルツリーとする。写真手前の芝生の下に遺骨が埋葬されている(提供:エンディングセンター)

雑木林の木立を生かした「樹木墓地エリア」(提供:エンディングセンター)

 井上さんが理事長を務める「認定NPO法人エンディングセンター」は現在、死や葬送に関連する情報の提供や相談の受付、「桜葬」墓地の普及活動などを行っています。では、「桜葬」とはどのようなものでしょうか。
 「樹木葬の一種である『桜葬』は、跡継ぎを必要としないお墓で、宗教は問いません。『集合墓』といって、柵などの仕切りのない個別区画が隣接して1つのエリアを形成しており、住宅でいえば、マンションなどの集合住宅に似ています。古来、日本人が愛でた桜の木をシンボルツリーにして、その下に遺骨を埋葬します。いわば、桜の木が墓標となるお墓です。」(井上さん)
 一区画は20または25㎝四方で、その中に深さ90㎝ほどの円筒形の穴を掘ります。2人用、4人用、その他の組み合わせがあり、遺骨は骨壺から出して埋葬するので、やがて土に還ります。埋葬した場所には個人を特定できる墓標を立てることはせず、近くに共同の銘版を設置するだけです(記名しないことも可能)。もちろん、区画は記録されており、墓地につけられた目印を頼りに埋葬されている場所がわかります。
 エンディングセンターが企画する「桜葬」墓地は、「町田いずみ浄苑」内(東京・町田市)や「神峯山寺」境内(大阪・高槻市)にあり、全国の人が契約できるシステムもあります。形態は複数あって、好みに応じて選択が可能です。また、東京・町田市の桜葬には、雑木林の木立をそのまま生かした樹木墓地エリアもあって、こちらは、より自然の雰囲気を残しています。

家族・血縁に代わるつながり「墓友」

「桜葬メモリアル」の様子(提供:エンディングセンター)

 「樹木葬」(桜葬)の普及を図るだけでなく、同じお墓に入る人たちが生前からゆるやかにつながり合い、家族や血縁とは別の、新しい結びつきをつくろうとしているのも、エンディングセンターの大きな特徴です。
 例えば、エンディングセンターでは、子どもがいない人や、お子さんに障害がある親御さん、単身者などのために、家族に代わってさまざまなサポートを行っています(エンディングサポート)。希望に応じて、生前の入退院の手伝いから見守りまで、さらに「生前契約」を結ぶことで、葬儀や死後事務、遺骨の墓地への移送と埋葬、家財道具の処分まで依頼することができます。
 また、講座や交流会、サークル活動などを積極的に開催し、「墓友(はかとも)」同士の結びつきを深めようとしています。「お墓を核としてとして結ぶ縁、絆です。皆さん、最終的には同じ場所に行くわけですから、普通のお友達との会話よりも話は深くなるし、気持ちもまとまりやすい。会員の皆さんは、サークル活動を一緒に楽しみながら、ふと『死んだらみんなあの桜の下に眠るのよね。向こうで再会したらワインで乾杯しましょう』などと話したりします。死んだ後のことを話しているのに、皆さん楽しそう。でも、そう口にする方が、必ずしも死後の世界を信じているわけではありません。死を受容するための生きる知恵なんですね。」(井上さん)
 「桜葬」墓地では、毎年、桜の咲く頃に合同祭祀「桜葬メモリアル」を行っています。この供養には、埋葬されている人の家族や友人だけでなく、自分の区画を所有している人も多数参列しているといいます。お花見がてら参加し、「自分がお墓に入ったときにはまたみんなが来てくれるだろう」と思うことで、単身の方も寂しさを感じないという声が聞かれるそうです。

 家族や血縁者だけでは望む最期を迎えづらい時代になり、同じような境遇にある人たちが助け合う試みが広がっています。「これまでは介護も看取りもすべて家族がやってきましたが、現在は、何ごとも家族に頼るわけにはいかない時代です。2010年国勢調査では『単独世帯』が最も多く、これからは『個』としてどう生きるかが問われます。そんな社会で、お互いがつながり合い、いかに心豊かに生きていけるか。それが私の研究テーマです。」(井上さん)
 大変な時代ですが、一方で自分に合ったやり方を選べる時代でもあります。自分が最期をどのように迎えたいのか、これを機に考えてみてはいかがでしょうか。

◎認定NPO法人エンディングセンター ウェブサイト

http://www.endingcenter.com/

■墓友たちのサークル活動「深い呼吸でリフレッシュ」

 エンディングセンターは、会員の活動のための場として「もう一つの我が家」(一戸建ての住宅)を用意しています。語り合いの会やランチの会などのセンターが企画する催しから、コーラスや書道、小物づくりの会など自主的に行うサークル活動まで、墓友同士の幅広い交流が行われています。
 今回、取材をお願いしたのは、ヨーガと太極拳を取り入れた体操を行う自主サークル。皆さんが集まると、楽しそうな近況報告が始まり、やがてゆっくりと準備運動が始まります。印象的なのは、おしゃべりをしていると思ったら、いつの間にか真剣な表情で難しいポーズに取り組んでいること。皆さん楽しみながら、同時に真剣に取り組んでいることがわかります。
 サークル活動の楽しみは何でしょう。「いろんな考えが聞けて、人生の勉強になります。」「年上の方の姿を見て、『10年後に、自分のあの人のように背筋を伸ばして歩いていたい』などと自分のモデルにしています。」「楽しいが一番。得意で好きなことだけ参加していればいいので気が楽です。べたべたした関係ではなく、オープンでおおらか。だから続けていけるんだと思います。」
 人生の楽しみ方を、皆さんよくご存知です。

 
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時代が求める新しい「お墓」のかたち① ~樹木葬、桜葬とは?~

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