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相続・贈与 年金・社会保険
掲載:2017年7月14日

自分で決める、認知症になったときのこと
~任意後見制度って何だろう?~

特徴を理解して活用

自分の意思で選択=後見人の人選は慎重に

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 このように「任意後見制度」と「法定後見制度」は、後見人選任の過程が異なります。この違いを理解して利用することが大切です(表6参照)。
 「任意後見の特徴は、将来に備えて、判断力がしっかりしているうちに、自分で後見人を指定できるという点です。援助の内容も、当事者の間で自由に決めることができ、法定後見よりも融通がききます。例えば、『特定の誰かに後見を任せたい(あるいは、任せたくない)』という場合には、大きなメリットになります。他にも、子どもや親族などサポートしてくれる人のいない高齢者の方が、認知症になったときの備えとして、信頼できる専門家と契約を結ぶケースもあります。
 ただし、任意後見人は慎重に選ぶ必要があります。人選に大きな制限はなく、双方の合意があれば、家族や親類だけでなく友人など身近な人とも契約を結ぶことができます。一方で、制度を悪用して、任意代理契約と任意後見契約を結んだ後、すでに判断能力が低下しているのに家庭裁判所に申立てを行わず、任意後見受任者が財産を流用する事件が起きています。本当に信頼できる人を選びましょう。また、専門家に任せるのであれば、長年のお付き合いがあって、その人柄がわかっている方にお願いするのが一番です。」(奥田さん)
 なお、任意後見人が就任したのち、本人の認知症の症状が進んだなどして任意後見契約の範囲だけでは援助が難しくなったような場合には、法定後見制度の利用を検討し、法定後見(補助・保佐・後見)開始の審判がされると任意後見契約は終了することになります。

■表6 任意後見制度のメリット・デメリット

【メリット】

・あらかじめ、自分の意思で任意後見人や後見の範囲を決めておくことができる。

・「移行型」を選択して、判断能力があるうちから援助を頼むこともできる。

・必ず任意後見監督人がつき、任意後見人に対するチェック機能が働く。

 など

【デメリット】

・任意後見人には、本人が行った契約を取り消す権限がない。

・契約に盛り込まれていない項目は、援助の対象にはならない(必要になった場合、援助できないことも)。

・判断能力が低下し、任意後見へと移行する時期の把握・確定が難しい場合がある(場合によっては、悪用のおそれ)。

 など

家族のためにできること

 任意後見制度は、認知症などで判断能力を失ったときに備え、あらかじめ自分の意思を示しておくことができる制度です。しかし、“自分”の意思を伝えることは、“家族”のためにも大切なことだと、奥田さんはいいます。
 「自分が認知症になるかもしれないということはわかっていても、それについて考えるのはなかなか大変なことで、皆さん、何となく先送りにしてしまっているのではないでしょうか。しかし同時に、『家族には迷惑をかけたくない。自分でできることはやっておきたい』という気持ちも強いようです。
 ご家族に何も伝えずに認知症になった場合、『争族』につながる可能性が高くなります。ただ、こういうことは、子どものほうからはいい出しにくいものです。元気なうちから認知症になったときのことを考え、親のほうから機会をつくって家族で話合いをすることができれば、争族になることも少なくなります。さらに、任意後見契約に合わせて遺言書をまとめることができれば、ご自身が、そして家族が安心することができます。まずは、任意後見制度をきっかけに、“終い支度”について考えることから始めてみてはいかがでしょうか。」(奥田さん)

■司法書士のご紹介について

 遺言書は、不動産などの重要な財産移転に関わるものであることから、法律上より確実な方法として「公正証書遺言」が望ましいとされています。年金住宅福祉協会では、皆様に最適な遺言の作成手段や遺言作成にあたっての必要事項についてアドバイスできる、実績のある司法書士をご紹介いたします。お気軽にお問合せください。

一般財団法人年金住宅福祉協会(担当:阿部) TEL 03-3501-4761

■相続手続きを迅速に、「法定相続情報証明制度」始まる

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 預金の払戻しや保険金の請求、不動産の相続登記など、親を亡くしたときには、さまざまな窓口で相続手続きが必要になります。この際、手続きごとにすべての相続人の戸籍謄本を提出しなければならず、それぞれの手続きの終了と書類一式の返却を待って次の手続きを行うのが、これまでの一般的な手順でした。
 5月29日にスタートした「法定相続情報証明制度」は、複数の相続手続きを同時に進められるようにし、手続きにかかる時間を短縮するしくみです。利用者は、相続人すべての戸籍謄本を市町村で集め、これをもとに法定相続情報の一覧図を作成、登記所(法務局)に提出します。登記所は、内容を確認したうえで一覧図の写しを必要な数だけ無料で交付。利用者は、戸籍謄本に代えて一覧図の写しをそれぞれの窓口に提出することで、複数の手続きを同時に進めることができるようになります。
 不動産の所有者が亡くなったときには相続登記が必要になり、登記しないでいるとさまざまなトラブルが生じます(「不動産相続の思わぬ落とし穴~相続登記は忘れずに~」参照)。この制度を利用してスムーズに相続手続きを。詳細は、法務局のウェブサイトをご覧ください。

◎「法定相続情報証明制度」について

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html

◎法定相続情報証明制度の具体的な手続について

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000014.html

 
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