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くらしすとEYE
健康
掲載:2016年11月15日

高齢者の口腔ケア〜知っておきたいこと〜

 さまざまな病気は口から侵入します。食べたり飲んだりまたは呼吸することで、栄養だけではなく、細菌やウイルスといった「体に好ましくないもの」が食べ物や空気に混じって「口から」入り込んでくるのです。例えば食中毒菌やインフルエンザウイルスなどです。ですから、口の中のケアを行うということは、食事をするためだけではなく、病気から自身を守るために大切なことなのです。

口は患いの元

最も重要なのが唾液(だえき)

唾液の役割

 唾液の高い殺菌作用は、口の中の虫歯菌を退治する効果があります。このほか、口から入ってきた食べ物に絡まることで唾液に含まれる消化酵素を混ぜていきます。噛むことによって食べ物は口の中で小さくバラバラになると唾液は一層絡みやすくなります。すると飲み込みやすくもなります。小さく砕かれ、消化酵素と混じった食べ物は胃に運ばれた時に消化しやすくなります。

 病気から体を守るバリアとして活躍するのが唾液です。唾液がきちんと分泌されて口の中が潤っているかどうかで、病原体から守る力が高くなったり低くなったりします。

 唾液には強い殺菌作用があります。しかし虫歯や歯周病で唾液の状態が悪くなると、唾液の免疫能力が落ちてしまいます。この唾液のパワーを発揮させて病気に負けない体作りをするためには歯や歯茎(はぐき)の健康が欠かせません。口は栄養を摂る入り口だけでなく、病気の原因を体の中に入れない防御壁であることを知っておきましょう。

唾液を出すにはシッカリ噛むこと

 唾液は年齢と共に自然に分泌量が減る傾向があります。しかし、シッカリとよく噛むことによって年齢に関わらず分泌量が多くなります。"噛めば噛むほど味わいが深くなる"と表現されるように、噛むことで味覚が刺激されて唾液の分泌が促されます。

 では、噛む回数を多くするにはどうすれば良いでしょうか? これには2つの方法があります。1つはきんぴらごぼうや野菜スティック、フランスパンなど固い食感の料理や食品を選ぶこと、もう1つは筑前煮や肉野菜炒めなど材料を大きめに切っておくことです。煮物や炒め物は材料が柔らかくなるので、固い食品が難しくても、口に入るサイズを大きくすることで自然に噛む回数が増えてきます。

噛むためには歯が重要

 噛む回数を増やすには歯の状態が重要です。虫歯がある、歯周病で歯茎がしっかりと歯を支えられていない状態などがあると噛むこと自体が苦痛になります。ですから、歯に問題がある人は歯科で十分な治療が必要です。痛みが引いたから、出血が止まったからと独自の判断で治療を中断するのは絶対にいけません。歯科では口の中の全体をみて自覚のない炎症の治療をはじめ、再発防止、他の歯の健康までを視野に入れて治療が行われているからです。歯科医師が「これで終了」と宣言するまでは通院しましょう。

入れ歯や差し歯でも挽回できる

 歯がいかに大切とわかっていても、加齢とともに虫歯や歯周病のトラブルは起きやすくなります。大人の虫歯は子供と違い、すり減った詰め物のすきまから起きやすいのです。つまり、以前に虫歯の治療したところに虫歯が再発しやすいのです。もちろん歯周病が原因で虫歯になることもあります。

歯が多いほど医療費がかからない

 東北大学の加齢歯科科学講座の50歳以上の約3万人を対象にした調査研究によると、歯が4本以下しか残っていない人の場合、20本以上残っている人に比べて1カ月の平均医療費が約5,600円も多くかかっている結果がでています。医療費が安く済んでいるということは、全身の病気が少ないということを示しています。このことから歯がシッカリと残っている人は健康度が高いということがわかります。

 虫歯が進行すると時として義歯(人工の歯)を使うきっかけになります。義歯にはブリッジ、入れ歯、インプラントなどがあります。どれを選ぶかは、ほかの歯や歯茎の状態によって異なります。また、身体的負担や費用、持病などを考慮して治療法を歯科医と相談することが必要です。

 そしてあなたに合った義歯を使うことで、噛む力が戻ってきます。歯の数が減っていても、人工の歯を追加することで補えるからです。何より重要なのは「噛む力」が回復、向上することです。さらには、将来の虫歯や歯周病予防のためにもシッカリと噛む習慣をつけていきましょう。

 しかし、本来の歯の能力を上回る義歯はありません。ですからこれ以上義歯を増やさないことが重要です。

 そこで知っておきたいのが「8020(はちまるにーまる)運動」です。1989年(平成元年)より厚生省(当時)と日本歯科医師会が推進している「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動です。20本以上の 歯があれば、食生活にほぼ満足することができると言われています。

 人はもともと28本の歯を持っています。ですから、何本か抜歯をしたり、差し歯などになっても希望を捨てないで下さい。今より悪くならないように努力することが一番です。

 そこで大切なことは義歯を含めて、日々の歯磨きと口のなか全体で噛み合わせのズレが起きていないかの定期的なチェックをすることです。装着した当初はぴったりであっても、月日の経過とともに義歯そのものやほかの歯、歯茎の状態が変化してきます。義歯の噛み合わせが悪くなると歯の数が揃っていても噛む力が大幅にダウンしてしまうのです。

噛む力が落ちることで寝たきりにも…噛む力と生きる力

 本来の歯と義歯が混在していても、最も重要なのは「噛む力」です。食品を噛む力がなければ唾液の分泌どころか、食品から充分な栄養をとることが難しくなります。例えば豆腐やヨーグルトといった噛む力が弱くても食べることができる食品が多くなると栄養に偏りが出てしまいます。栄養の偏りは、体力低下につながります。特に高齢になると噛む力が弱まることで食が細くなり、栄養不良を起こしやすくなるのです。すると体力・筋力が落ちたり、骨がもろくなりやすくなります。噛む力が弱くなることがきっかけで足腰が弱くなり、寝たきり予備軍になってしまうことにもなります。

 歯や歯茎の状態によっては「噛み切る力」が弱っている場合があります。すると固い食品を食べて噛む回数を増やす、ということが難しくなります。そこで柔らかく煮る、あるいは薄切りにして噛み切りやすいように工夫しましょう。そのうえで、食材1切れのサイズを大きくして「柔らかくても噛む回数は多くする」ということを日頃の習慣にすることが大事です。

 まだ医学的に証明はされていませんが、末期がん患者などで食欲が激減していても、少しでも口から食事をとっている人と全て点滴や管を通して栄養を摂っている人を比べると、口から食事をとっている人のほうが元気で長生きしやすいと言われています。噛む力は元気の源になるのです。

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