中高年になって「ヤル気がでない」「疲れやすい」「眠れない」「不安」「イライラ」など、心身の不調が出てきたら、男性の更年期障害の可能性も。

 ここ数年で認知度はかなり上がりましたが、更年期障害は女性だけでなく、男性にもあるのです。女性の更年期障害のつらさはよく知られていますが、男性は「家族を支える」「会社を支える」という強い義務感により、不調をガマンしてしまう傾向があります。また、原因を仕事のストレスや年齢のためと勘違いしてしまうことも。このため症状が出ていても声に出して苦しさを訴えられない、周囲の理解が得られにくいなどの特徴もあります。

 男性にもつらい更年期障害、それは女性のものとどう違うのでしょうか。そして、男性はどうやって乗り越えていけばよいのでしょうか。

1男性の更年期障害もホルモンの減少から

女性の更年期と男性の更年期

 女性の場合は、閉経前後の時期(更年期)に女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)の分泌量が急激に減少することが原因で、心身共に不安定な状態に陥り、多汗、のぼせ、動悸、頭痛、手足の痺れなど、個人差はありますが、様々な症状が現れます。男性の場合もやはり男性ホルモン(テストステロン)の減少により、様々な症状が生じると言われています。もちろん、男性の場合、閉経はありませんが、加齢とともに男性ホルモンの分泌は減っていき、40〜60歳で社会的なストレスなども加わって、いわゆる「男性の更年期障害」となるのです。

男性ホルモンの意外な役割と更年期障害との関係

筋肉や骨を強くする

 男性ホルモンには、筋肉や骨を強くする働きがあります。このため、スポーツ選手などで筋肉増強を狙って男性ホルモンを摂取することがあります。もちろん、これはドーピングとして禁止されています。それほど、男性ホルモンは筋肉と骨を強くしてくれるのです。ですから男性ホルモンが減少すると、筋肉が落ちてきて、今までと同じように活動(通勤、仕事、日常生活など)をしていても疲れやすく、倦怠感が長引きます。さらに筋肉痛や発汗をしやすくなり、これが更に体を動かすことが億劫になってしまいます。これは男性ホルモンに痛みを感じにくくする働きもあるため、ホルモン量が低下すると筋肉痛が出やすくなるためです。40〜60歳という年齢的に仕事での立場が指示をする側になることになることもあり、若手のように肉体的に働くことが少なくなります。すると1日の活動量が減ることと同時に、ホルモン量の低下による筋肉量の減少が重なって肥満を招いてしまいます。こうした男性ホルモンの減少にまつわる一連の作用が男性の更年期障害に関係すると言われています。

性機能を正常に保つ

 男性ホルモンには性機能を正常に保つ機能があるため、自尊心に関わる問題が出てきます。判断力や理解力などの認知機能を高める機能もありますが、いずれも男性ホルモンの減少とともに、能力が落ちてしまいます。すると不安感やイライラ、興味や意欲が失せてくるという心の問題も起きます。

肥満を抑える

 男性の更年期障害で不眠や憂鬱(ゆううつ)が続くと、「うつ病」と勘違いをしてしまうことがあります。しかし、うつ病は食欲不振などと相まって痩せてしまうことが多い一方で、更年期障害では太ってしまうのが特徴です。というのも、男性ホルモンには肥満を抑える働きがあるからです。今までと生活習慣、特に食事量が変わらないのに太り始めてくれば要注意です。

症状は様々

 女性もそうであるように、こうしたホルモンの減少により引き起こされる症状は内容も程度も個人差があります。また、自覚がないことも多く、いつのまにか「怒りっぽくなった」、「急に元気がなくなった」と周囲が感じることもあります。すると、対人関係がこじれてますます症状が悪化する原因にもなります。男性にも更年期障害があり、その症状は女性同様つらいものであることを、家族を始め社会で理解していく必要があるといえます。

精神的な症状

 ・自信がない
 ・集中力が続かない
 ・イライラする
 ・不安感が強い
 ・活力がわかない  など

身体的な症状

 ・太ってきた
 ・だるい
 ・筋肉痛や肩こりがひどい
 ・多汗
 ・ほてりやのぼせ
 ・性欲がなくなる  など

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