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くらしすとEYE
生きがい・社会参加 介護
掲載:2016年6月15日

高齢社会を支える認知症サポーター

 

近所で学べる認知症の基礎知識

 世界一の長寿国となった日本で、認知症は誰にとっても他人事だとはいえません。まず親の問題として、そして遠くない自身の問題として、切実な思いで認知症をとらえている方も少なくないのではないでしょうか。患者数が年々増加するなかで、認知症への理解を深める講座を開催し、認知症に優しい社会を目指す「認知症サポーター」の取組みが進められています。

 「サポーター」とはどのようなしくみなのでしょうか。この活動の運営を支援する全国キャラバン・メイト連絡協議会の事務局長・菅原弘子さんにお話をうかがいました。

「よくわからない」から生まれる恐れ

同業者のシンボルマーク

「認知症サポーターキャラバン」事業のシンボルマーク

 高齢であるほど発症率が高くなる認知症は、世界一の長寿国である日本においてこそ切実な問題です。かつて「痴呆症」と呼ばれていた当時は、「徘徊して困る」とか、「同じことを何度も言う」「ごはんを食べたのを覚えていない」といった情報が独り歩きして、世間では「痴呆症は原因不明で治らない怖いもの」と恐れるムードが蔓延していました。

 2004年に「痴呆」という名称が「認知症」に改められたのを機に、厚生労働省は「認知症を知り地域をつくる10ヵ年構想」をまとめ、この病気に対する啓発活動を本格的に始めました。その中核となったのが、2005年に開始した「認知症サポーターキャラバン」。都道府県や市町村が主体となって、認知症を正しく理解し、接し方の基本を学ぶ講座を開催し、市民に「サポーター」になってもらう。これによって認知症に優しい社会環境を整備する事業です。

知っているだけで支えになる

 「サポーター」と聞くと、「ボランティアとしてさまざまな活動に積極的に参加する特別な人」というイメージを持つ方もいるでしょう。では、サポーターにはどのようなことが求められているのでしょうか。厚生労働省のウェブサイトには、「認知症サポーターに期待されること」として以下の5つが挙げられています。

 

1 認知症に対して正しく理解し、偏見をもたない。

2 認知症の人や家族に対して温かい目で見守る。

3 近隣の認知症の人や家族に対して、自分なりにできる簡単なことから実践する。

4 地域でできることを探し、相互扶助・協力・連携、ネットワークをつくる。

5 まちづくりを担う地域のリーダーとして活躍する。

〈厚生労働省ウェブサイト「認知症サポーターキャラバン」〉

 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000089508.html

 サポーターの役割は、まず認知症を理解し、認知症の人を見守ること、そのうえでできることがあれば手伝い、人とつながりをつくっていくことだといえます。「つまり、サポーターは何か特別なことをする人ではありません。」菅原さんはその点を強調します。

 まず認知症について正しい知識を持つ。知っていれば、家族や近隣の人に症状が出始めたときに「認知症ではないか」「困っているのではないか」と気づくこともできます。たとえば、「隣のおじいちゃん、最近ごみの分別ができていないな」と気づいたときに、ごみ出しをちょっとだけ手伝ってあげることも立派な見守りです。もし知識がなければ、だらしない人だとかおかしな人だという偏見で終わってしまうかもしれません。

【知っておきたい認知症の基礎知識】

〜認知症の症状は対応次第で改善も〜

認知症とは、病気による脳の変性や脳血管の病気が原因で脳細胞の働きが悪くなり、障害が起こっている状態です。認知症の症状のうち、記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、実行機能障害などを「中核症状」といいます。

 これに本人の性格、環境、心理状態が影響して出る症状が「行動・心理症状」(BPSD)です。たとえば徘徊をしている人は、見当識障害で自分がどこにいるのかわからず歩き回っている場合があります。そのほか、自信を失って元気をなくす、生活動作がひとりでできなくなる、ものが盗まれたと妄想することもあります。行動・心理症状はその人の生活や性格、環境によりさまざまで、周囲が理解し、プライドを傷つけない対応をすることで、症状の改善や進行を遅らせることができます

 認知症の方に対応するときの心構えは、①驚かせない、②急がせない、③自尊心を傷つけないという3つの「ない」が基本です。

身近な疑問から始まる認知症への理解

オレンジリング

オレンジリング

 「認知症サポーター養成講座」は、市町村などが主体になって身近な場所で開催しています。「隣のおばあちゃんが認知症かもしれない。」「親が認知症になったら。」「物忘れがひどくなったのは認知症?」そんな身近な疑問から理解は始まります。肩ひじ張らず、まずは気軽に受講してみることをお勧めします。町内会や友人同士、職場などで一定の人数がそろえば、講師が出向いて出張講座を開くことも可能です。

小学生向け副読本

小学生向け副読本

 サポーターの目印はオレンジ色のブレスレット(オレンジリング)。受講者全員に配布されるもので、身に着けることで支え手としての意思を周囲に示すことができます。

 団塊世代の受講が増えており、60代・70代のサポーターが多数誕生しています。「家族に認知症の人がいるということもあるでしょうし、自分の近い将来を考えてのことだとも思います。社会に役立つ活動をしたいと思う意欲のあらわれの参加でもあります。高齢者同士が互いを支え合う発想がないと高齢社会を乗り切れませんから、好ましいことです。」(菅原さん)

 また、小中学校でもさかんに講座が行われています。いま講座を受けている子どもたちは10年、20年先には社会の支え手になり、認知症に優しい社会を築いてくれるでしょう。

認知症サポーター養成講座の概要

●実施時間:原則90分

●受講料:無料

●内容:原則として、全国共通のテキスト(中学生用・小学生用もある)を使用し、全国どこでも同じ知識を学びます。

 ①認知症についての基本知識/②認知症サポーターとは

●問合せ:お住まいの市町村の高齢者・介護保険関連窓口など

※「認知症サポーターキャラバン」のウェブサイトには自治体事務局の連絡先が掲載されています(http://www.caravanmate.com/office/)。

 次のページでは、認知症サポーター養成が目指す「地域づくり」について見てみます。

 
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