放置するのは大きなリスク 1放置するのは大きなリスク

保険料を納めるのは誰のため?

 厚生労働省の調査によれば、国民年金保険料の未納の理由として「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」が全体のおよそ7割を占め、経済的な理由が大きいことがわかります(図1)。国民年金の保険料は月額16,260円(平成28年度額)。これを毎月納めていくのは簡単なことではないかもしれません。しかし、保険料を未納のまま放っておくと、人生のさまざまなリスクに対してさらに無防備になってしまうことに注意が必要です。

 公的年金は、現役世代が保険料を納めることで高齢者世代の給付を支えるしくみ(世代間扶養)だと説明されています。しかし、私たちそれぞれの生活のレベルで考えてみれば、まずは「自分のために」納めているのだということを忘れてはいけないでしょう。人生はさまざまなリスクに満ちており、公的年金はそのようなリスクに対して自ら備えるためのしくみです。

図1 保険料を納付しない理由(主要回答)

図1 保険料を納付しない理由(主要回答)

〈厚生労働省年金局「平成26年国民年金被保険者実態調査 結果の概要」より作成〉

未納を放っておくと

 では、国民年金保険料の未納を放っておいた場合、どのようなリスクが考えられるのでしょうか。

事故への備えがない

 国民年金には、障害が残ったときの「障害基礎年金」と、亡くなったときに遺族に支給される「遺族基礎年金」もあります。いずれも、過去に保険料を一定期間納付していることが要件になっています(保険料納付要件)。事故はいつ起こるか予測ができません。このようなリスクへの備えは十分でしょうか。

高齢になったときに年金がもらえない

 65歳から「老齢基礎年金」を受けるためには、保険料を20歳から最低25年間(300ヵ月)納める必要があります。25年に1ヵ月足りないだけでも年金を受けることはできません。これを受けられない場合、別に収入があれば心配はありませんが、子どもに養ってもらうか、生活保護に頼るかしなければいけません。

年金額が低くなってしまう

 老齢基礎年金を受けられる場合でも、納付期間が短ければ年金額は少額にとどまります。例えば、老齢基礎年金は40年間(480ヵ月)保険料を納付した場合の満額で月額65,008円(平成28年度額。以下同様)。これに対して、要件となっている25年納付では40,630円になります。さらに、25年の受給資格期間は消費税率の引上げと同時に10年間(120ヵ月)に短縮される予定ですが、10年納付では16,252円です。

 次のページでは、加入期間の不足や低年金を補うための保険料の納付方法、また、納められないときのための免除・猶予制度について紹介します。

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