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介護
掲載:2015年5月15日

"遠距離介護"のかたち その② 遠距離介護との向き合い方"

  要介護になる前に


NPO法人「パオッコ」
理事長・太田差惠子さん

 前回("遠距離介護"のかたち その① 遠距離介護の実態)は、老親と離れて暮らす子たちが危惧する事柄や直面し得る問題などの現状を見てきました。今回は、遠距離介護をどのように捉え、対策をとっていけば良いのか、前回に引き続き、NPO法人「パオッコ」を通して、離れて暮らす老親の情報支援を行う太田差惠子さんにお話しを伺いました。
 遠距離介護のポイントは「とにかく情報集めと、親とのコミュニケーション。また、ビジネス感覚で客観的に対応することも大切」と太田さんはいいます。

離れたところからできる介護予防

 遠距離・同居に関わらず、高齢化が進むにつれてその重要さが増してくるのが「介護予防」です。身体機能や運動機能の維持・向上させることで、介護を必要とせず自立した生活が送れるようにという考え方ですが、遠距離の親子にとっては、この介護予防が特に重要になります。親が少しでも長く自立した生活を送ることが、ひいては自分の生活を守ることにもなるからです。
 "親の元気"を支えるためのポイントを太田さんに教えていただきました。

■楽しみを増やして笑顔になってもらう

 楽しみを一緒に見つけお手伝いすることも、親が元気で生き生き暮らすことにつながります。

太田さんからアドバイス

 「親に楽しんでもらおうと旅行に誘う方が多いですね。健康に不安がある方には、お医者さんが同行するバリアフリーの海外旅行を専門に扱う旅行会社もあります。また、足が不自由な方でも、車いす対応のタクシーで観光地を見て回るタクシー旅行もできます。旅行には行けなくても、インターネット通販の『お取り寄せ』で地方のおいしいものを食べることも楽しいでしょう。
 また、たとえば腰が曲がってしまっても快適に着られる服を扱うお店もあります。おしゃれをすることで、外に出ようという意欲につながることもあります。自分ではできないとあきらめていたこともできる可能性がありますので、調べてあげると良いと思います」。

■日常の小さな困難を取り除いてあげる

 高齢になると生活の中で億劫になったり、困難になったりすることが増えてきます。一つひとつは些細なことですが、解決してあげる気配りが重要です。

太田さんからアドバイス

 「実家に帰った時、困ったことはないか聞きましょう。高いところの電球が切れていないか、家電が壊れていないか、使いにくい家電はないか?…など。たとえば、腕の具合が悪くて高いところに洗濯物を干せなくて困っていたら、低いところに干す場所を作ってあげる。もしペットボトルが開けづらいなら、オープナーを渡す。意外なところでは、針山の針に糸を通しておいて欲しいという声を聞いたことがあります。こうしたちょっとしたことで、まだまだ自立した暮らしを維持できるのです」。

■家電の買い替えは元気なうちに

 便利で簡単な家電を導入すれば、親の生活は格段に楽になるでしょう。様子を見すぎずに早めのタイミングでの買い替えがおすすめです。

太田さんからアドバイス

 「認知症の症状が出始めて、ガスコンロは危ないからIHに替えようと考える方も多いのですが、その頃の親はもう新しいIHは使いこなせないでしょう。また、『うちの親には携帯電話は無理』と敬遠する方もいますが、試してもらう価値はあります。高齢者のためのスマホ教室もありますし、楽しんで使っている方もたくさんいらっしゃいます。メールなら連絡も気軽にできるようになって、良いコミュニケーションツールにもなります」。

【ポイント】

 「携帯電話も含めた家電の切り替えは、何か起こってからではなく、親が元気なうちがいいと思います。もちろん親のためですが、1日でも長く親に自立して生活してもらうことは、結果として自分のためでもあります」。

良いコミュニケーションで心の距離を縮める

 介護予防を心がけていても、いずれ要介護となる日が訪れるかも知れません。あまり考えたくはないものですが、その時が近付いている間にいちばん大切なのは"コミュニケーション"です。太田さんによると、これには大きく2つの狙いがあります。

■健康状態の変化を見逃さない

 離れて住んでいると健康状態の悪化には気付きにくいものです。親が老齢になったら、電話やメールでも良いのでこまめに連絡をとってコミュニケーションを増やす必要があります。

太田さんからアドバイス

 「たとえ元気でも、会話の中で『転倒した』というような話が出たり、同じことを繰り返し話していたりというような『あれ?』と思う小さい変化に気付いたら、その日付をメモしておくことをお勧めします。忙しい中では、いつだったのかを忘れてしまいますので。時系列でメモを残しておけば確実に何かが起こっているとわかり、診断の手がかりにもなります」。

■今後、何を望んでいるかを知っておく

 親がどんな暮らしを望んでいるか、把握できているでしょうか? 現在の住み慣れた家で暮らし続けたいとか、便利な駅の近くに引っ越したいと思っているかも知れません。逆に、施設に入ることを望んでいる場合もあります。今後の意向を聞いておけば、後のトラブル回避に役立ちます。

太田さんからアドバイス

 「年金はいくらか、資産はどれくらいあるのかといったお金の事情も知っておきたいところです。これを知らなければ、どんな介護ができるのか見当がつきません。ただし、切り出し方には注意が必要です。コミュニケーションを深めながら、たとえば『友達のお母さんが入院した時、お金の場所がわからなくて苦労したらしい』といった形で水を向けるとか、『いざという時のために財産の一覧を書いておいて欲しい』と頼むのも一案です。唐突にお金の話をすると財産狙いと思われかねないので、普段から様々な対応を深めておくことが大切です。

【ポイント】

 「身内であるからこそ素直に話を聞いてもらえず、ケンカになることは珍しくありません。私は介護も戦略だと考えています。仕事をしていると厄介なお客さんもいるかと思いますが、お客さんを相手にするように、少しビジネス感覚になれば腹も立ちません。どこからどう話せばわかってくれるのか戦略を立てて、段階を踏んで話しましょう」。

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