健康寿命をのばそう1健康寿命をのばそう

スマート・ライフ・プロジェクトとは?

 『スマート・ライフ・プロジェクト』という活動をご存知ですか? 聞いたことがない人でも、"健康的な暮らし""健やかなる毎日"などといったものが想像できるかもしれません。『スマート・ライフ・プロジェクト』は、厚生労働省が平成23年2月に国民の生活習慣の改善、そして健康寿命を延ばすことを目的として開始したもので、平成20年度から実施してきた「すこやか生活習慣国民運動」をさらに普及・発展させたものでもあります。
 簡単に言えば、元気で健康で楽しく毎日が送れることを推進していくプロジェクトということになります。そして、このプロジェクトの最大のキーポイントは"健康寿命を延ばす"こと。(健康寿命について詳しくは過去のコラムhttp://kurassist.jp/anshin/anshin04-1.htmlを参考にしてください)少子高齢化が進むなかで、高齢者を支える若い世代が減り、医療や介護を必要とする高齢者が増えていくというなかで、国益目線で見ても、また個人目線で老後を考えた時にも、最後まで健康でいる人を増やしていくことこそが、国の使命であり、日本が描く明るい未来なのだ、という意味が込められています。

なぜ今『スマート・ライフ・プロジェクト』?

 そもそも、なぜ 今『スマート・ライフ・プロジェクト』を厚生労働省が推進しているのでしょうか? その理由の1つは、近年、疾病全体に占めるがんや心疾患などの「生活習慣病」の割合が増加し、実に国民の約6割がそれで亡くなっているという事実があるからです。一方で平均寿命は国際的にも高く、世界でも有数の長寿国。そうした良い面ばかりに焦点が当たりがちですが、一方で、寿命が延びても医療や介護を必要とする人が増えているという側面も持ち合わせているのが現実です(表1・図1)。しかし、この現実は運動や食生活、禁煙で確実に改善できることもわかっています。そこで、運動・食生活・禁煙により、単なる長寿でなく、より長く、健康で自立した生活を送ることができる「健康寿命」を延ばそう、と新たにスタートしたのが『スマート・ライフ・プロジェクト』なのです。

表1 国別の平均寿命

    (単位:歳)
国名 男性 女性
日本 79.94 86.41
カナダ 78.80 83.30
アメリカ 76.30 81.10
フランス 78.40 84.80
ドイツ 77.72 82.73
イタリア 79.40 84.50
スイス 80.30 84.70
イギリス 79.66 82.64

<厚生労働省「簡易生命表の概況」(平成24年)より>

図1 死因別死亡割合(%)

図1

<厚生労働省「人口動態統計(確定数)の概況」(平成24年)より>

このプロジェクトのキーワード

写真03 このプロジェクトの3つのキーワード「運動」「食生活」「禁煙」は、どれも生活習慣病予防に繋がる重要な取り組みです。そしてこれら3つのアクションを具体化するスローガンが、人型をモチーフにしたロゴ(すこやかな生活習慣の爽快感をイメージ)とともに提示されています。

写真03

運動、食生活、禁煙を促す具体的なアクションとは?

 運動:「毎日10分の運動を」、食生活:「1日プラス100gの野菜を」、禁煙:「禁煙の促進」という推奨スローガンですが、掲げるのは簡単でも、実行するのはなかなか大変です。「わかっていても…」「毎日続けられるかどうか…」という人が多いのではありませんか?そこで、具体的にどう行動すればより良いのか、具体例を挙げてみていきたいと思います。(厚生労働省健康局総務課、生活習慣病対策室「コミュニケーションの手引き」より)

【運動】

○運動習慣をつけるために
■週末なら、合計40分ランナー
 毎日運動を続けるのが難しければ、週末だけの40分程度のジョギングでも十分生活習慣病の予防効果があることが科学的に証明されています。例えば土日合わせての40分ランでもOK。

■打ちっぱなし15分
 好きなことなら辛くない。運動は大変でも趣味のゴルフであれば続けられるのでは? 打ちっぱなし練習で15分だけでも立派な運動。週に合計で60分の練習であれば、生活習慣病予防に効果があります。

■毎日10分間のラジオ体操
 最近その様々な部位を動かす総合的に見てもよくできた運動として見直されているラジオ体操。これだって、十分な運動。毎日続けることで、生活習慣病を予防することが可能です。

○歩く習慣をつけるために
■ひと駅歩きましょうか?
 普段足りない歩数は平均あと1000歩。ひと駅分、10分程度の歩きが十分な身体活動に。お散歩気分でもう少し先まで歩いてみよう、その心意気が大切です。

■3曲分、歩きましょう
 好きな音楽を聴いていれば、時間が経つのもあっという間。ポップス3曲分が合計10分程度の歩きにつながります。1日足りない歩数、1000歩分を、音楽とともに過ごすのはいかがですか?

【食生活】

○野菜不足を解消するために
■温野菜なら不足100gも食べやすい
 生活習慣病予防の観点から、必要な野菜の摂取量は350g。日本人に足りない摂取量はあと100g。わずか小皿ひとつ分。生野菜を食べなきゃと思うとハードルが高くなるかもしれませんが、温野菜だと意外にもプラスしやすい!
スープや煮物はもちろん、忙しい時は野菜をゆでずに、レンジでチンでもOK。

■野菜不足はあとトマト半分
 あと足りない100g、具体的にはどれぐらい? トマトなら半分、野菜炒めなら半皿分。意外にも難しくない量なのです。夕食ではなく、朝食や昼食にプラスするのが続けやすいコツです。

○朝食習慣をつけるために
■朝カフェで、1日を始めましょう
 朝食は「これからすることのエネルギー」になります。朝食抜きの人は、カフェや喫茶店、ファーストフードなどを利用して朝食を摂るようにしてみては?最近では、モーニングメニューに力を入れる飲食店が多いので、意外にも楽しい時間になるかもしれません。

【禁煙】

◯禁煙を促すために
■タバコは美しさをこわします
 有害物質を含む煙を体内に吸い込むことで、害が体内に蓄積。明らかに肌や体内の年齢、若々しさや美しさに悪影響です。キレイでいるためにやめませんか?

■タバコを吸っていると流産してしまうかもしれませんよ
 タバコには4000種類にも及ぶ有害物質が含まれています。微量ではあるものの、その害は体内に蓄積されてやがては子宮に悪影響を及ぼすことが科学的研究から明らかになっています。妊娠してからではちょっと遅いかも。

少しの工夫で健康寿命をアップ!

 こうした日々のちょっとした努力が生活習慣病を予防し、健康寿命を延ばすことにつながります。『スマート・ライフ・プロジェクト』と大層な響きに聞こえますが、実際は「私達が健康で活き活きとした日々を過ごす応援メッセージ」でもあるのです。これらの問いかけに興味をもち、出来ることからトライしてみてはいかがでしょうか?
 また、「いつもより30分早く寝る」ことも大事。これだけで翌朝からの生活リズムが見違えるようにチェンジするとか、朝食を摂る時間や心の余裕ができ、上記で挙げた具体例を実践する余裕が生まれるかもしれません。実際、朝食習慣のある人は、午前中の仕事や家事、勉強効率が高められることも科学的に実証されています。もう30分早く寝る。出発点はここからです!

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