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くらしすとEYE
年金・社会保険
掲載:2013年4月15日

年金は早くもらったほうがトクか?

  4もらい始める年齢で損も得もない

受給総額を単純計算して比較してみると

 では結局、年金は早くもらうと得なのか損なのか?
 ちょっと試算してみよう。仮にBさんが65歳からもらえる老齢基礎年金額を年額720,000円(月額6万円×12月)とする。これが60歳からもらうことで、70%の504,000円に減額される。分岐点は77歳。60歳から77歳までに17年間の受給総額は8,568,000円。一方、65歳から77歳までの12年間、本来の老齢基礎年金額の受給総額は8,640,000円になる。
 受給総額で比較した場合、大雑把にいうと、77歳より長生きしなければ繰上げ受給のほうが得、77歳より長生きすれば本来受給のほうが得ということになる。
 ちなみに、日本人男性の平均寿命(79歳:平成23年統計)まで生きるとすると、本来受給のほうが50万円ほど得をするという計算だ。
 これに対し、Bさんは「いつまで生きるかなんてわからないんだから、早くから受給して、若くて元気なうちに使ったほうがいいんじゃないかと思いますけどね」。
  とはいえ、長生きすればそれだけリスクも高まるのが事実だが、Bさんがそこまではっきりと割り切れるのは、厚生年金の加入者だからでもあるだろう。とくにBさんは、老齢基礎年金が繰上げ受給で減額されても、「特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)」が60歳から65歳になるまで支給される年代だ。
 老齢基礎年金だけしかもらえない人にとっては、老後の生活資金に占める年金の割合が高ければ繰上げ受給による減額の影響は大きい。長生きリスクに対して慎重にならざるを得ない人も少なくないだろう。

年金額以外のリスクは?

 老齢基礎年金を繰上げ受給すると、寡婦年金や障害基礎年金はもらえなくなる。
 たとえば、こんな話がある。
 農業をしていたDさん(故人)は、20歳から60歳までの40年間、未納期間がまったくなく国民年金保険料を納め、65歳から満額の年金をもらえることを楽しみにしていた矢先、末期がんで余命宣告された。そこで、亡くなる前にせめてほんの少しでも年金をもらおうと繰上げ受給の手続きをしたが、本人は一度も年金をもらうことなく亡くなった。子どもはみんな成人していたため遺族基礎年金は支給されないが、もしDさんが繰上げ手続きをしていなければ、妻に寡婦年金が支給されるはずだったのだが…。
 繰上げ受給についての知識がなかったことが悔やまれるケースである。こうした例を見ても、国民年金だけの人はとくに繰上げ受給には慎重になるべきだろう。

これからは老齢厚生年金をもらえる人も慎重に

 老齢厚生年金をもらえるという人も、安易に考えては危険だ。これからは厚生年金保険に加入している人も繰上げ受給には慎重になる必要が出てきた。
 というのも、平成25(2013)年4月2日以降に60歳になる男性、平成30(2018)年4月2日以降に60歳以上になる女性は、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢が、現在の「60歳」から「65歳」へと段階的に引き上げられるからだ。
 これに伴い、報酬比例部分の受給開始年齢前に繰上げ受給する場合は、老齢基礎年金と報酬比例部分とをセットで繰上げ受給しなければならず、老齢基礎年金だけでなく老齢厚生年金までも生涯減額されることになるのである。Bさんはギリギリセーフで免れたが、これから60歳になる厚生年金の加入者は気をつけなければならない。

生活設計を立てたうえで判断することが大切

 とはいえ、繰上げ受給によるそうしたさまざまなリスクやデメリットを承知したうえで、家計の状況などを考えて「いますぐ受給したい」という人は、国民年金だけの人、厚生年金ももらえる人にかかわらずいるだろう。
 また、将来もらえる年金額を少しでも多くしたほうが安心だから繰下げ受給をしたいという人もいるだろう。
 つまるところ、どういう老後を送りたいと考えるかは人によってさまざまだし、その考えの基盤となる経済状況や家族状況、生活環境も人それぞれ違うわけで、各人が老後の生活設計をしっかり立てたうえで判断したことであれば、年金を早くもらうことに得も損もないだろう。その判断を適切にするために、年金制度をよく理解しておくことが必要であることは言うまでもない。

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